Multi R DVDの特徴の1つは、変換ソフトが付属していることだ。つまり、すでにDivXでコンテンツを録り貯めているユーザーだけでなく、PCでテレビ録画などを始めてみたが、次のステップとしてPC上の動画ファイルをリビングルームなどで簡単に再生してみたいといったユーザーもターゲットにした製品といえる。
変換ソフトである「かんたん換太郎」を導入すると、同時にDivXコーデック、MPEGコーデックもインストールされる。フォーマットと変換画質を設定すれば、後は動画ファイルを書き込み先のアイコンにドロップするだけで、エンコードからメディアへの書き込みまで行ってくれる。
エンコードは、高画質、標準、長時間といったシンプルな設定が可能だ。メディアのアイコンには、設定に応じて記録可能な時間も表示される。この時間を目安に動画ファイルを選択したり、逆に動画ファイルの録画時間に合わせてエンコードの設定を行えばいい。非常にわかりやすいソフトで、DivXの特性など理解しなくても使える。少なくとも、MPEGより1枚のメディアに長時間の動画が保存できることさえわかっていれば良いといった感じだ。
また、Multi R DVDでファイル名が正常に表示されるように簡単なファイル名変換もしてくれる。単に作成日に連番を付けるだけなのだが、たとえばPCで録画したテレビ番組なら日付だけでも目安にはなるだろう。
ここで、「もったいないな……」と思ったのは、日本語ファイル名のカタカナやローマ字変換だけでもできなかったのか? ということだ。例えばオンキヨーのネットワークオーディオプレーヤー「NC-500/NC-500X」では、本体ディスプレイが日本語(2バイト文字)表示できないため、ファイルの登録時にPC側で日本語をカタカナに変換する機能を備えている。Multi R DVD本体の日本語ファイル名表示が難しいのなら、ぜひ「かんたん換太郎」側でなんらかの対応を望みたいところだ。
Multi R DVDは、DivXでも違和感のない早戻し、早見再生を実現し、動作全体のレスポンスもいい。リモコンを含めて操作系も良くできている。トレイの開閉も非常に静かで、こうした細かい点にもカノープスのコダワリを感じる。
また、ドルビー5.1チャンネルデコーダーまで内蔵していることや、変換ソフトまで付属している点を考慮すると価格競争力もまずまず。光メディア再生タイプのDivXプレーヤーとしては、かなり強力な選択肢になることは間違いない。
ただ、既に触れた通り、日本語ファイル名表示に対応していない点はつらい。確かに日本語ファイル名表示に対応した競合製品でも一部の文字が表示できなかったり、フォントが不自然だったりと日本語への対応が不完全な面も見られるが、まったく表示できないよりはずっと良い。
もちろん日本語ファイル名が扱えなくてもそれほど困らない人もいるだろうが、購入を考えている人はこの点をしっかり把握しておくべきだ。日本語ファイル名未対応の問題を除けば、“一押し”といえる製品だけに、悩む人も多いのではないだろうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR