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「Witness」は、物言えぬ被害者の“最後の味方”だ自動車のフライトレコーダーは是か非か(2/3 ページ)

» 2004年06月03日 09時39分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 しかし、科学的なアプローチを取り入れているとは言え、筆者が実際に経験した警察の事故調査では、事後、事故を見た当事者でもない事故調査班の、「喧嘩両成敗」的な、既成の事故パターンに押し込もうとする早期決着手法の感が強い。

 事実のみを語る客観的データの必要性から、日本交通事故鑑識研究所では5年ほど前から飛行機のフライトレコーダーのような、事故時とその前後を映像で記録したものが、クルマにも必要だと考え、その製品の企画・開発を長年かけて行ってきた。

 常に安全運転を心がけているドライバーにとっては、遂に客観的に「無過失を証明する」ことの出来る「正義の味方」「Witness」の登場なのだ。

 「Witness」は、大まかに言えば、「広角のCCDカメラ」、異常振動を感知し次のアクションをする「Gセンサー」、映像等を記録する「コンパクトフラッシュメモリ」の三つのエレメントを5X15センチのブラックボックスに内蔵したドライブレコーダーだ。重さは約120グラムで、CCDカメラを前方に向け、ルームミラーとほぼ同じ辺り、フロントガラスの上部付近に吸着方式で取り付ける。

Witnessはごく一般的なコンパクトフラッシュメモリーを利用、記録する
Witnessは自動車のルームミラーの側に吸着させて前方を監視する

 動作のための電源は自動車本体から直配線で取り、シガーライターからは取れない。これは、運転者の勝手な判断や、都合によって簡単に抜き差し出来ないようにするためには必要な機能だろう。

 また、事故時の衝突による衝撃(G)の記録と同じくらい重要な「その時の速度」を記録するために、スピードメーターと同様の、車速のパルス入力・記録も同様に出来る構造に作られている。

 最初は助手席にご機嫌で座るが、しばらくすると直ぐにウトウトと居眠りを始めて、視界ゼロのワイフや彼女と比べて、「Witness」のCCDカメラは、左右角95度、上下角70度を撮影・記録できる優れものだ。

 その日の気分に関わらず、天候に関わらず、昼夜を問わず、複雑な光の交錯するトンネルの中でも、夕日に向かって走る逆光の中でも、文句も言わず24時間365日、「確実な目撃者」を名実共に演じてくれる。休憩のドライブインで、長いトイレに並ぶこともないし、パスタも食べない、もちろん、クリームソースの味に文句をつけたりもしない理想の超インテリレディなのだ。

 「Witness」は電源とコンパクトフラッシュ・メモリカードの入っている限り、常時0.2秒に1枚(5枚/秒)のJPEG画像を連続して撮影し、18秒間の一巻で、撮影画像が一回りのパラパラ漫画のようになっている。

毎秒5コマ、18秒で90枚のJPEG画像を撮影、異常を検知した場合、コンパクトフラッシュメモリーに状況を記録する

 小学校の算数だが、総計90コマの連続写真を撮影し、18秒間のスロットが全部撮影済画像で埋まってしまうと、今度は最初に戻って、また新しく撮影した画像を古い過去の画像の上に自動的に録画し始めるようにプログラミングされている。

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