DVDレコーダーの先駆者でありながら、2003年にはそのシェアをソニーに奪われた感のあるパイオニア。2003年秋の製品で他社がトップモデルからEPGを搭載し始めた頃に「時期尚早」と採用を見送り、結果として普及モデルにまでEPGを採用したソニー「スゴ録」に“してやられた”形だ(関連記事)。
背水の陣ともいえるパイオニアの2004年モデルは、まず3製品が投入された。DVD&HDDハイブリッドレコーダーの「DVR-620H-S」「DVR-520H-S」、そしてDVDレコーダーの「DVR-320-S」だ。松下電器産業や東芝がそうであるように、パイオニアでも本来トップモデルとなる700番台の投入は先送りとなった。オリンピック特需でより広い層への販売が見込めるため、「まずは普及製品」という思惑は、各社とも変わらないようだ。
さて、パイオニアの新製品には大きなトピックが2つある。DVD&HDDハイブリッドレコーダーへの地上波EPGの採用、そして8倍速書き込みDVDドライブの搭載だ。前者は他社に遅れること約1年でようやく採用され、後者は他社に並びかけられた「高速ダビング」という同社の特徴をさらに強化した形だ。ただし強調されているのは、やはり地上波EPGのほう。カタログの表紙も2003年モデルの「実力は速さでわかる。24倍速あっとダビング」から「カンタンDVDレコーダーはパイオニア」と大きく方向性を変更した。現状で本来のトップモデルが欠けているという事情もあるが、これまでの“AV指向”から“家電指向”へと、同社が大きく舵を切ったことを象徴している。
今回取り上げる「DVR-620H-S」は、新製品の中ではトップモデルに位置する。250GバイトHDDを内蔵し、最大で約443時間の録画が可能。DVDドライブは最大8倍速書き込みとなり、DV端子も備えた。
なお、昨年のモデルではDVD&HDDレコーダーの全てに搭載されていたアナログBSチューナーが省略されている。これはパイオニアに限ったことではないが、アナログBSの録画も考えている買い換えユーザーにとっては、ちょっと困った状況になりつつあるようだ。
注目のEPGは、地上波テレビ放送で配信されている「G-GUIDE」を採用した。同じく地上波テレビ放送を使う「ADAMS-EPG」も情報量の多さで評価されている部分もあるが、いくつかの地域(富山県、福井県、山梨県、鳥取県、島根県、高知県、宮崎県)で利用できないことなどを配慮すると「G-GUIDE」のほうが妥当なのだろう。
EPG画面は、1列8段表示。一覧性よりも情報量を重視したタイプだ。時刻別、チャンネル別、ジャンル別の表示が可能で、上下キーを使って一覧から番組選択、前/次キーでページスクロール、左右キーで時刻やチャンネル間の移動と、操作もわかりやすい。
「チャンネル別表示」は時刻単位の区切りがないため、5分といった短い番組も表示が省略されないメリットがある。その反面、「時刻別表示」は30分単位になるため、30分以下の番組は表示されない場合がある。この点は大いに注意が必要だ。
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