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» 2004年06月23日 10時36分 UPDATE

ハイテク大手が団結、「公正使用権」法案を推進

大手IT企業や消費者団体が新団体を結成、映画や音楽の私的複製を作成する「公正使用権」を認める「デジタルメディア消費者権利法案」を米議会で通過させるために活動する。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 ITベンダー、消費者擁護団体、ISP(インターネットサービスプロバイダー)が、18カ月前に米下院に提出された、映画や音楽などの著作権付きデジタル製品の私的複製を認める法案を支持する団体を結成した。

 この団体「Personal Technology Freedom Coalition」は6月22日、2003年1月に提出された「デジタルメディア消費者権利法案」を議会で通過させるための取り組みを開始した。この法案はリック・バウチャー下院議員(バージニア州選出・民主党)が提出したもので、消費者がCDや映画の私的複製を作成するなどの目的で、コピープロテクトを破ることを認める内容となっている。この法案の支持者は、消費者が私的複製を作成する「公正使用権」がデジタルミレニアム著作権法(DMCA)では抑制されており、この権利を保護する必要があると主張している。

 「CDやビデオを買って、個人的に利用するために少数のコピーを作成することが違法だとは思わない。DMCAではそうすることがほぼ不可能になっている。われわれは海賊行為のようなことを解禁にしようとしているのではない」と下院エネルギー・商業委員会の議長を務めるジョー・バートン議員(テキサス州選出・共和党)は語っている。

 バウチャー議員の法案では、コピー保護技術の回避を禁じるDMCAの条項の一部を縮小する。この法案の共同提案者であるバートン議員が2月に下院エネルギー・商業委員会の議長に指名された時点で、通過の可能性は高まった。

 バートン議員は、7月までに同委員会で会議を開いてこの法案を検討、修正し、その後下院での審議にかける予定だとしている。この法案は1年半の間進展がなく、一部議員やエンターテインメント企業の強い反対に遭っていたが、バウチャー議員とバートン議員は、年内に下院を通過できると確信している。

 Personal Technology Freedom Coalitionは22日に連邦議会議事堂で設立記者会見を行い、20を超える組織・企業が参加している。参加者は米学生連合や米消費者同盟から、Intel、Sun Microsystems、Gatewayなどのハイテク大手にまで及ぶ。Verizon Communications、BellSouthなどの通信会社・ISP大手4社も参加している。

 この団体の設立と同じ日に、全米レコード協会(RIAA)は482件の新たな訴訟を発表した。その被告には、P2Pサービスを使って楽曲をアップロードし、交換したとされる206人のワシントンD.C.の住民も含まれる。デジタル海賊行為との戦いで先陣を切るRIAAと米国映画協会(MPAA)にこの団体に関するコメントを求めたが、まだ返答は得られていない。

 関係者は設立会見で、コピー保護技術の回避を禁じるDMCAの条項が、技術革新を抑制していると主張。ジョン・ドゥリトル下院議員(カリフォルニア州選出・共和党)はApple ComputerのiPodを取り上げ、消費者が自分のCDをiPodにコピーできなければ、このような技術にメリットはないと指摘した。

 DMCAを利用してセキュリティホールの研究を抑え付けようとする企業もあると、コンピュータ・情報産業協会(CCIA)のプレジデント、エド・ブラック氏は付け加えた。「知的財産を守るためではなく、競争を阻害するために知的財産を利用しようとする動きだ」

 バウチャー議員の法案では、私的複製がいくつなら公正使用に当たり、いくつなら著作権侵害になるかが詳細に記されていない。DMCAでは、どのような活動が海賊行為となり、どのような場合が公正使用となるかを裁判所が判断している。この法案でも、裁判所が引き続き検討に当たることを認めていると同議員は話している。

 いくつまでの私的複製なら公正使用になるかとの質問を受けて、米消費者連合の調査ディレクター、マーク・クーパー氏は、DMCAでは消費者がコピー保護技術を回避して、1つの複製を作ることも許されていないと語った。著作権付き作品の複製を1000件作って売れば刑務所行きにもなるが、50件未満なら訴訟や訴追の脅威から免れるはずだと同氏は述べた。

 「海賊行為に関しては、グレーゾーンはきわめて狭い」(同氏)

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