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ビジネスとして走り出したソニーの「イメージステーション」、だが……(2/3 ページ)

» 2004年07月08日 11時27分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 「もともとイメージステーションのバックヤードを持っていたハードウェアグループというのは、VAIOやサイバーショットなどを持っていたところですので、前のキャッチフレーズ『イメージで繋がろう』のとおり、バイオやクリエ、ハンディカムなどいろいろなものがつながっていくという意味で、一定の成果はあったと思います。その時代は、まあカメラを販促しましょうという目的のもとに運用されていたので、具体的にいつ有料化というプランはなかったんです」

 「今回の有料化は、運用コストが問題になったからという後ろ向きの理由ではなくて、やっと会社としても、これがビジネスになるという、ポジティブな判断をしたということなんですね」(森原氏)

強化されたプリントサービス

 イメージステーションの新しい機能として、アルバム製本サービスがある。このサービスとは、いくつかの写真を使って、きちんと製本されたアルバムを作ってもらえるというものだ。そんなの前からあったジャン、という人は、きっとVAIOユーザーだろう。

 今までこのアルバム製本サービスを利用するには、VAIOに付属の「PictureGearStudio」というソフトウェアを作って、アルバムを自分でデザインし、それから発注という流れになっていた。今回の新サービスは、専用ソフトウェアを使わずに、Web上でアルバムのデザインを作ることができる。すなわちVAIOユーザーであるかどうか関係なく、利用できるのだ。

オンラインでページデザインまで可能な、アルバム製本サービス

 アルバム製本サービスも含めてプリントサービスは、特にメンバー登録する必要もなく利用できるようになった。もちろんメンバー登録すれば、送り先の住所などをいちいち入力する手間が省けるのだが、ふらりと立ち寄ってデジカメの写真を手軽にプリント発注できるというのは、いろんなとこの会員になるのが面倒な人にもいいだろう。

ログインなしでもプリントサービスを利用できる

 また受け取り方法も、全国チェーンの「写真屋さん45」で受け取るという方法が採れる。これなら朝プリントを依頼して、夕方にはお店で受け取りという、オンラインプリントサービスでは最短の0日受け渡しも実現可能だ。支払いは店頭で現金払いなので、Webでクレジットカードの番号を入力したくない人にもいい。

 ただ個人的な思いとしては、やはり前段でも書いた、「ワクワク感」の減少が残念だ。プリントサービスはビジネスというかメシの種としてがんばってやっていただいて、それでもうけたカネで何かもっと面白いことをやって欲しいと思う。初めてイメージステーションが出てきたときの衝撃、「イメージコミュニケーション」という分野は、これからようやく面白くなりそうだという手応えが、ようやく見えてきたところなのだ。

blogで変わる「ホームページ」の意識

 かつてblogなるものがアメリカで話題になり始めたとき、日本のネット社会の反応は比較的冷ややかなものであった。「は? それってただのWeb日記じゃん。」

 そう、日本では早くから、公開Web日記なる文化が花開いていた。まったく見ず知らずの他人の日記をエンターテインメントとして楽しみ、そこに思わぬ発見や共通項を見つける。もちろん書く方も公開しているという意識はちゃんと持っているため、プライバシーや個人が特定できるようなことをダイレクトに書くわけではない。そこには見る側、見られる側の、暗黙だが不可侵のルールが存在した。

 さらに公開Web日記は、みんなで一斉にある期間集中的に行なうといった、イベントのような形にまで発展していった。そんなタイミングで、Web先進国アメリカから「今、blogが一番新しいんだぜベイベ」と言われても、今さら何言ってんだこのヒトタチ、という反応であったのは、当然であろう。

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