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多チャンネル放送&VoDの「4th MEDIA」、IPv6で本格展開

» 2004年07月08日 22時45分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ぷららネットワークスとオンラインティーヴィは7月8日、NTT東日本のサービスエリアを対象として、IPv6を利用したブロードバンド映像配信サービスを開始すると発表した。ユーザーは、専用のSTB(セットトップボックス)を使い、専門チャンネルや映画をテレビで楽しむことができる。

 オンラインティーヴィは、ジュピター・プログラミング、セコム、東北新社といった国内の大手コンテンツホルダーが設立した「有線役務利用放送事業者」だ。同社とぷららネットワークスは、昨年フィールド実験を実施。今回のサービスは、その商用展開となる。配信システムなどは基本的に同じだが、映像フォーマットをMPEG-2に統一したほか、端末認証のため、前回のIPv4/PPPoEに変えてIPv6を採用している。

photo 左からオンラインティーヴィの竹岡哲朗社長、ぷららネットワークスの板東浩二社長、オンラインティーヴィ経営企画部の米澤稔部長、ぷららネットワークス、サービス企画部の中岡聡部長。挨拶に立ったオンラインティーヴィの板東社長は、「今後1年間で20万人のユーザーを確保したい」と意欲をみせた

VoDは1000タイトル以上

 対象ユーザーは、「ぷらら」「BIGLOBE」「@nifty」「hi-ho」「So-net」の会員で「フレッツ・ADSL」(1.5Mbpsコースを除く)および「Bフレッツ」の利用者。また、NTT東日本のIPv6サービス「FLET'S.Net」(月額315円、税込み)に加入する必要がある。

 放送チャンネルには、パッケージとして提供される「ベーシック」チャンネルのほか、個別契約の「プレミアム」チャンネルが用意された(チャンネル一覧)。「レギュラープラン」に申し込めば、月額基本料金2415円(税込み)で30チャンネルを視聴可能だ。

プラン 概要 月額基本料金
レギュラープラン オンラインTV30チャンネル、VoD可 2415円(税込み)
ライトプラン VoDのみ 577円(税込み)
初期費用が別途必要(下記)。なお、プレミアムTVサービスを追加できるのはレギュラープランのみ

 また、プレミアムTVサービスには、映画専門チャンネルの「スター・チャンネル」をはじめ、「釣りビジョン」などの専門チャンネル、アダルト系の「プレイボーイチャンネル」などを含む計10チャンネルをラインアップ。もちろん、ペアレンタルロック(視聴年齢制限)の機能を備えている。料金は1チャンネルあたり月額735円から(個別)。

 一方のVoD(ビデオ・オン・デマンド)は、ハリウッドのメジャー映画を中心とした1000タイトル以上を用意する予定だ。料金は、映画の新作が420円、旧作は315円(いずれも税込み)。購入時から24時間、視聴可能になる仕組みだ。

photo STBの画面。「テレビ」が多チャンネル放送で「ビデオ」がVoDだ。上のタブにある「ループ」というのは、VoDコンテンツのマルチキャスト配信のことで、話題作が登場したとき、サーバやネットワークの負荷をおさえるために使われる。使い勝手はPPV(ペイ・パー・ビュー)と同様で、放送時間に合わせて視聴しなければならない。また、通常のVoDなら「早送り・巻き戻し」などのトリックプレイも可能だが、ループのコンテンツは不可

 「VoDには、毎月10本以上の新作を加えていく予定だ。年内にはほとんどのメジャー映画会社をカバーしたい。また、イタリアのサッカーリーグ“セリエA”の録画中継は、日本国内におけるIP-STB向けの独占配信権を3年半にわたって獲得しており、こうした他社との差別化ポイントになるスポーツコンテンツの交渉も順次進めていく」(ぷららネットワークス、サービス企画部の中岡聡部長)。

 なお、契約時には「契約料」(5229円)を支払い、STBを購入する必要がある。STBの価格は2万6250円(税込み)だが、サービス開始キャンペーンとして限定1万台までは1万円引きの1万5750円(いずれも税込み価格)で提供される。「サービス開始当初は販売のみだが、ISPが独自にレンタルメニューを設けることも考えられるだろう」(中岡氏)。

photo STBは3種類ある。写真は沖電気のSTB「Streaming Player」
photo 住友電工ネットワークスのIP-STB「Stream Cruiser」。このほか、NTT東日本の「Picture Mate 100」もラインアップ

 なお、配信システムとコンテンツ保護の仕組みは、概ね試験サービスのときと同じだ。多チャンネル放送は、東京・有明にあるデータセンターに衛星受信システムを設置し、スカパー!の放送を受信。一度アナログに戻したものをMPEG-2に再エンコードしながらIPマルチキャストで再送信する。一方のVoDは、コンテンツホルダーから供給されたビデオマスターを事前にエンコードしておき、ユーザーのリクエストに応じてストレージから送出する仕組みだ。

 いずれも送信前にCAS(Conditional Access System:限定受信システム)を通るほか、コンテンツはAESのRijindael方式を用いて暗号化。再生に必要な暗号鍵は公開鍵方式で配信するが、「10分間に1回」鍵が変更されるため、「たとえ解読されても10分間しか有効ではない」という。また、STBからのアナログ出力にはマクロビジョン信号を加えて違法コピーを防いでいる。

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