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「H.264/AVC改良版」で動き出すか? 次世代光ディスク情勢(2/3 ページ)

» 2004年07月09日 20時29分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 比較に使われていたのはフィルムグレイン(粒子)が多いことで知られる映画“エリン・ブロコビッチ”の一場面で、グレインのないコンピュータグラフィックスによる映像(DCI-Aと呼ばれる評価用映像)、一般的なフィルム映像(DCI-Bと呼ばれる評価用映像、フィルムグレインも中程度に混じる)の三種類だ。

 コーデックはH.264/AVC FRExtの他、H.264/AVCのリファレンスコーデック、MPEG-2(D-VHSエミュレーションの24Mbps)。アドバンスド・コーデックのビットレートは8/12/16/20Mbpsの4種類。オリジナルと圧縮後の映像を中心点で分割し、片方をミラーイメージにして合成する手法で見比べ、評価を行う。

 エリン・ブロコビッチはかなりグレインが多く、途中で書籍の活字が写る場面があるなど、かなり圧縮コーデックにはキツイ映像だ。さすがに8Mbpsではグレインの粒度が上がり、全体的にノイジーになる。12Mbpsならかなり改善されるが、ややオリジナルとの違いが気になる。ところが16Mbpsまでビットレートを上げると、むしろMPEG-2/24MbpsのD-VHSエミュレーションよりもきれいな映像になった。フィルムの質感や空間周波数の高い場面も全く問題ない。

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 ツルツルでグレインのないDCI-Aになると、8Mbpsでも全く問題を感じない。エッジがぼけたような印象もなく、オリジナルとの差は8Mbpsでもほとんど気付かないだろう。

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 DCI-Bは冒頭に紙吹雪が青空に舞うシーンがあり、8Mbpsだと途中で現れる花嫁のブーケを含め全体にやや違和感を感じたが、12Mbpsになるとほぼ問題ない。16Mbpsまでビットレートが上がるとオリジナルとの区別は困難になるが、12MbpsでもMPEG-2/24Mbpsよりは良い印象である。

 総じてMPEG-2/24Mbpsは、オリジナルに比べて画面のざわつきが多くなる傾向だが、H.264/AVC FRExtは細かな質感、ディテールを残しつつ、ノイズだけが少なくなる印象。コンピュータグラフィックで作られたアニメ素材なら8Mbpsで十分。一般的な映画なら12Mbpsでも満足のいく圧縮結果だった。

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