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ウワサの30インチ「Apple Cinema HD Display」を見てきました

» 2004年07月10日 01時05分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 7月8日、アップルが報道関係者向けの新製品説明会を開催した。今回のテーマは、先日のWWDCで発表されたフラットディスプレイラインと、2005年下半期にリリースされる新OS「Tiger」。会場には、発売したばかりの新しいフラットディスプレイシリーズが並べられ、間近に見ることができる。OSの話は、こばやしゆたか氏の記事に譲り、Cinema HD Displayをじっくりと見てきた。

photo 30インチの「Apple Cinema HD Display」は、2560×1600ピクセルの約400万画素。対角表示領域では29.7インチとなる。高さはPowerMac G5にぴったり。並べていると、大きなPowerMac G5が普通のサイズに見えてくるから不思議だ

 まずはApple Cinema HD Displayのアウトラインから。ラインアップは、20インチ、23インチ、30インチの3製品で、いずれもワイド画面。かねてからのウワサ通り、新製品では現行のPowerMacやPowerBookと同じ、酸化皮膜処理を施したアルミニウム製のフレームとなった。液晶を囲む枠は格段に細くなり、かなりスタイリッシュな印象だ。

photo こちらは23インチモデル
photo もっともお手頃な20インチモデル。いずれのモデルもVESA FDMI(Flat Display Mount Interface)規格に準拠したマウントアダプタが利用できる(3570円の別売アダプタキットが必要)。壁掛けやアームタイプも可能だ
画面サイズ 20インチ 23インチ 30インチ
最大解像度 1680×1050ピクセル 1920×1200ピクセル 2560×1600ピクセル
表示色数 約1670万色☆3☆
視野角 水平170度、垂直170度☆3☆
輝度 250カンデラ 270カンデラ☆2☆
高さ 41センチ 45センチ 54.3センチ
横幅 47.1センチ 53.6センチ 68.8センチ
奥行き 17.4センチ 18.7センチ 21.5センチ
重量 6.6キロ 7.03キロ 12.5キロ
直販価格 15万7290円 24万1290円 39万8790円
なお、17インチの「Studio Display」も継続販売されている

 30インチの「Apple Cinema HD Display」は、やはり大きかった。枠が細くなったおかげで圧迫感は少ないが、目の前にあると視界全体がディスプレイになったような印象を受ける。「高解像度の画像を原寸大で表示することはもちろん、(音楽ソフトの)Logicなら126トラックを一気に表示することができます。まあ、実際に126トラックも使うかどうかはわかりませんが……」と同社プロダクトマーケティング担当の小尾秀男氏。

 液晶パネルの左側面には、USB2.0(自己給電式USBハブ)とFireWire(IEEE 1394)ポートが2つずつ、右側には電源ボタンと輝度コントロールのボタンが配置されている。ハードウェアで輝度を調整できるアップル製ディスプレイは珍しい。

photo 右側には電源ボタンと輝度コントロールボタンを配置

 FireWire対応のWebカメラ「iSight」は、“マグネット式”でフレーム部分に取り付けることができる。もちろん、アルミに磁石はつかないが、外装の内側にスチール素材を入れた部分があるという。iSight用のアダプタは、iSightのパッケージに同梱されるほか、単品販売の予定もある(発売日は未定)。

 さて、デザインとともに大きな変更点となったのが、ビデオインタフェースだ。アップル独自のADCから、業界標準のDVI(Digital Visual Interface)に変わった。WWDCの基調講演でスティーブ・ジョブズ氏が「箱から出してすぐにPowerBookとつないで使える」と話したように、既にMac本体はDVIポートが標準。ようやく本体側の実情に合ったディスプレイが登場したといえる。ただし、DVIになったことで、ディスプレイ側からMac本体のシステムシャットダウンはできなくなった(スリープとウェイクアップは可能)。

 DVIケーブルは、ディスプレイ本体に直付けされている。途中(40センチほど)で分岐し、DVIとFireWire(IEEE 1394)、USB、そして電源ケーブルにわかれる形だ。よって、ディスプレイの裏側でケーブルが絡まる心配がない。

photo DVIケーブルは直付け。ちょっと不便かも
photo ケーブルは、DVIとFireWire(IEEE 1394)、USB、電源ケーブルに分かれる

 また、DVIの採用に伴い、20インチと23インチのモデルはWindowsマシンを正式サポートしている。グラフィックカードの条件は、「フルシングルリンクのデジタル帯域幅およびプラグ&プレイセットアップ用のVESA DDC規格に準拠していること」(アップル)。つまり、最近のグラフィックカードなら問題ないはずだ。

 一方、30インチCinema HD Displayがサポートしているのは、PowerMac G5とBTOオプションの「NVIDIA GeForce 6800 Ultra DDL」(8月発売予定)の組み合わせのみ。もちろん、DVIの規格に準拠しているため、Windowsでも使えないことはないが、「30インチCinema Display(の解像度)に対応できるグラフィックカードは、今のところコンシューマー製品ではほとんどない」(小尾氏)という。

photo DDLは「dual-linkのDVIポートを2つ持っているという意味」だが、実際につなぐのは片方だけ。1本で2560×1600ピクセルをまかなう
photo ACアダプタも大きめ。モデルによって微妙にサイズが異なる(写真は30インチモデル)

 なお、上記のようにNVIDIA GeForce 6800 Ultra DDLはDVIポートを2つ搭載しているため、両方使えば30インチのデュアルディスプレイ環境も実現できる。合わせて800万画素という、巨大なワークスペースの出来上がりだ。

photo 30インチ「Cinema HD Display」のデュアル環境。ちなみにPowerMac G5本体やグラフィックカードを合わせると、総額100万円を軽くオーバー

 最後に、アップル製品では恒例の温度チェック。Mac本体ではないから大丈夫かと思っていたが、画面の前に手をかざすと、結構暖かさ(熱気ともいう)を感じた。30インチのデュアルディスプレイ環境だったら、冬場も暖房は必要ないかも……?

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