ITmedia NEWS >

地デジ「データ放送」の選挙速報は使えたか?(1/2 ページ)

» 2004年07月16日 09時23分 公開
[佐藤晃洋,ITmedia]

 選挙となるとつきものなのが開票速報。それも国会議員の選挙となると、毎回テレビ局が出口調査や選挙特番を始め、エース級の局アナを総動員して大騒ぎするのが今や日本の風物詩だ。そんなテレビ局の特番に、今回は新たなアイテムが加わった。それが「データ放送」だ。

 昨年12月にスタートした地上デジタル放送では、BSデジタル放送同様にデータ放送機能を持っているが、これまではまだ地デジ自体のサービスエリアが狭いことや対応受像機が普及していないこともあってか、正直なところこの機能が活用されているとは言いがたい。そんな矢先に行われた今回の選挙は、地デジスタート後、初の本格的国政選挙ということから、果たして各局がデータ放送をどのように選挙速報に活用してくるか、筆者は個人的に注目していた。

 そこで、各局のデータ放送による選挙速報はどのような感じだったのか、またその出来栄えについて、今回は筆者の自宅に入っているCATVを利用して受信できるNHK+民放5局のデータ放送で筆者の独断と偏見による評価を行ってみた。

TBS・テレビ東京に加え、なぜか地デジのNHKもデータ放送で開票速報を行わず

 ……と意気込んではみたものの、実は今回地デジのデータ放送で選挙速報を行ったことが確認できたのは日本テレビ・テレビ朝日・フジテレビの3局のみ。筆者が見た限りではTBS・テレビ東京の民放2局に加え、なぜかNHKも地デジでは選挙速報を行わなかった。

 TBS・テレビ東京については、地デジだけでなくBSデジタルのデータ放送でも選挙速報を行っていないため理解できなくもないが、NHKはBSデジタルではしっかりとデータ放送で選挙速報を行っており、しかも結構内容が充実していただけに、地デジでこれを流さなかったのは個人的に非常に惜しまれる。

 ただ、内容の充実はイコールデータ量の増大となるため、ひょっとしたらBSデジタルに比べ1チャンネル当たりの帯域幅が少ない地デジでは、帯域の問題で流せなかったのかもしれない(ちなみに日本テレビ・テレビ朝日は地上波とBSデジタルの両方で同じデータ放送を行っていた)。NHKにはぜひ、次回は地デジのデータ放送でも同様の選挙速報を行って欲しいところだ。

 ただ、そうすると比較対象がわずか3局になってしまう。しかも今回は本格的に比較を開始したのが選挙の翌日になってからのため、既にフジテレビはデータ放送での選挙速報を終了しており、同局に関しては筆者の記憶に頼っての比較しか行えない。それではやや寂しいので、今回は急遽NHKのBSデジタルでのデータ放送も比較対象に加え、計4局での比較とすることにした。

開票状況へのアクセスについてはNHKに軍配

 肝心の開票状況へのアクセスの容易さについては、これはNHKに一票。選挙区・政党の選択機能の使い勝手そのものはどの局もほとんど変わらなかったものの、NHKはデータ放送の赤ボタンに「注目選挙区」としてブックマーク機能を用意し、最大で14個(選挙区もしくは政党)までブックマークを行うことが可能だった。

 ブックマークの登録・削除は緑ボタンで可能になっており、ブックマークしたところへのジャンプは赤ボタンを押してカーソルで選挙区を選び決定ボタンを押すだけ。操作性も自然だし、何より14個というブックマーク数が光る。

 テレビ朝日もアイデアは悪くない。こちらはデータ放送の青ボタンと赤ボタンが「お気に入り」用になっており、それぞれ一つずつ任意の選挙区や政党を登録しておくことができる。難点は、一度お気に入りを登録したボタンへ他の選挙区を登録するのにいちいちメニューから「お気に入り削除」を選んで登録を消さないといけないことと、「お気に入り削除」ボタンを押すと登録したお気に入りが2つとも消えてしまうこと(どちらか片方だけ削除するということができない)。

 日本テレビは、一応「注目選挙区」の登録機能はあるものの、登録できる選挙区は1つだけ。これに注目選挙区を登録してしまうとデフォルトで登録されている自分の選挙区の情報が上書きされてしまうため、自分の選挙区の情報を見るのに苦労する。

 しかも、選べるのは選挙区の速報だけで、比例代表の開票速報は登録すらできない。この点、NHKは青ボタンのメニューから「あなたの選挙区」を選ぶと一発で自分の選挙区に戻れるし、テレビ朝日もTOPページに常に自分の選挙区の開票状況が表示されるので、これらと比較して日本テレビの実装にはやや不満が残る。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.