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“しゃべる地球儀”が語る、2次元コードの新しいカタチ(1/2 ページ)

» 2004年08月11日 20時01分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 タカラが先週末に発売した「おはなし地球儀スターターセット」は、その名の通り“しゃべる地球儀”だ。一見、普通の地球儀だが、付属のペンで表面をタッチすると、国名や首都名、特徴などを音声で説明してくれる。その秘密は、表面にびっしりと印刷された、目に見えないほど小さな2次元コードだった。

photo 2次元コードリーダーの「おはなしせんせい」本体と地球儀、カートリッジなどがセットになった「おはなし地球儀スターターキット」。価格は1万5750円(税込み)。サイズは243(幅)×335(高さ)。対象年齢は6歳以上

 おはなし地球儀に採用されているのは、タカラが開発した「D-Touch」と呼ばれる技術だ。D-Touchは、今年3月に発売された「おはなしせんせい」のシリーズに初めて採用されたもの。“紙面に2次元コードを隠す印刷技術”と、隠されたコードを読みとるスキャン技術からなり、写真や地球儀のような複雑な絵柄と組み合わせても違和感がないという。1つ1つのコードは、わずか数ミクロンのドットで形成されている。

photo 表面を凝視すると、黒っぽい点がみえるが、これは2次元コードそのものではなく、印刷された2次元コードの“固まり”だ。おはなし地球儀では、192カ国の国名や首都、人口などを収録。地図上に配置された人物や動物の絵のコードを読み込み、各国の挨拶や動物の鳴き声を聞くこともできる

 いわゆる2次元コードには、商品管理で広く普及したバーコードや、携帯電話が対応した「QRコード」などがよく知られている。とくに新しいQRコードは、それまでのバーコードが一方向だけに情報を持っていたのに対し、縦、横の2方向に情報を持つことで記録できる情報量を増大。数字なら7089文字、全角カナや漢字でも1817文字を1つのコードの中に収納できるようになった。これにより、携帯電話のカメラでQRコードを読みとり、Webサイトにアクセスさせるといった使い方を可能にしている。

 ただし、タカラによると、QRコードは、その“大きさ”が弱点になる場合があるという。もちろん、利用者にコードの存在を認識してもらい、かつ多くの情報を盛り込むためには、ある程度のサイズが必要だ。しかし、読みとり時にはスキャナ(携帯電話ならカメラ)の位置やフォーカスを合わせる必要があり、印刷物に掲載したときには場所をとる。黒で描かれた四角い模様が、誌面の美観を損ねるケースもあるだろう。

 対して、D-Touchの2次元コードは、1つあたりのサイズが小さい。これを「網掛け」状に印刷することで、文字や写真の上、余白部分など、どこでも絵柄を壊すことなく2次元コードを配置できる。コード自体はカーボンブラックで印刷されているため、よく見ると表面に黒っぽい“コードの固まり”が見えてくるのだが、写真の色合いや雰囲気を壊すほどではない。

photo 絵本にもD-Touch。新幹線の写真に2次元コードを配置している

 「写真との親和性が高いため、たとえば色・ツヤが大事になる食べ物の写真などにも重ねることができます。多少表面が汚れても、すべてのコードが読めなくなる可能性は低いですから、応用範囲は広いでしょう」(ベビー・プリスクールマーケティング部の高橋英之係長)。

photo タカラ、ベビー・プリスクールマーケティング部の高橋英之係長(左)と羽鳥青志主任

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