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HD DVD、準備は完了?――メモリーテック、DVDとのコンパチ製造ラインを公開(1/2 ページ)

» 2004年08月19日 05時35分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 メモリーテックは、同社が茨城県明野町に持つHD DVDの生産ラインを関係者に公開した。この製造ラインは同社と東芝が共同で開発したもので、一つのラインでDVDとHD DVDの双方が生産できる“コンパチ”ラインであることが最大の特徴。

 どのように2種類のメディアを作り分けているのか、レポートしよう。

photo DVDとHD DVD双方の生産が可能な生産ライン。金属製のマスターから樹脂製のDVD/HD DVDを作成するまでを行う。透明な青いプラスティックで囲まれているが、特に意味はないそうだ

DVD/HD DVDの製造切り替えに要する時間は約5分

 まずは、映像が収録されたDVDを例に、DVDの作り方を説明しておこう。

 撮影・編集が終わった映像素材がマスターになるわけだが、そのマスターをガラス版にレーザーで焼き付け、さらに、そのガラス版から金属のマスターディスクを作成する。そして、そのマスターディスクを金型として樹脂製のディスクに内容を焼き付けるという行程でDVDは作られる。2層ディスクの場合には、データの書き込まれた2枚の樹脂製ディスクを張り合わせるという作業が、これに加わる。

 この作業の流れ自体はHD DVDでも変わらず、「BCA(注)を追加する作業が発生する場合があることを除けば、製造過程はDVDとほぼ同じ。ディスクに用いる樹脂や、2層ディスク張り合わせ用の接着剤もDVDと同じものが利用できる」(同社)。

(注)BCA(burst cutting area)とはディスク中心に用意される領域で、ディスクごとにユニークなIDを記入することができる。

photo BCA書き込み行程

 DVDと比べてHD DVDの方が、メディア表面の記録溝(トラックピッチ)の間隔が小さいために、金属製マスターから樹脂製ディスクを作成する際、多少時間がかかってしまうという。

 だが、同社ではHD DVDディスク(2層30Gバイト)の作成に必要な時間を1枚あたり3.5秒まで短縮しており(同じ装置でDVDを作成した場合には、3秒/1枚で製作可能)、これは現在利用されている多くのDVD作成機器よりも短い時間だという。

photo 金属製マスターからHD DVDを作成する射出成型機
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