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マイクロフライングロボットからミューチップまで――子どもと楽しめる「未来」(1/2 ページ)

» 2004年08月30日 11時04分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 8月27から30日まで(つまり今日までだ、行きたい人は忘れずに)、東京国際フォーラム(有楽町)で「未来創造フェスタ」(社団法人発明協会主催)というイベントが開催されている。

 このフェスタ、ポスターなどの告知を見るとなんとなく青少年向けのイベントに見えるのだけど、実際には大人がみて楽しめるものも多い。夏休みの最後にっていうんで、お父さんが子どもを連れていって、お父さんのほうが面白がっちゃうなんていうのがありそうな構図だ。

 会場はワンフロアなのだけど、中はなんとなく2つの空間に分かれている。「先端技術フェア」と「青少年世界発明工夫展」だ。

先端技術フェア

 日本のさまざまな分野の14のメーカーがそれぞれの誇る先端技術を見せてくれるというもの。たとえば味の素は、アスパルギン酸とフェニルアラニンを味あわせてくれる。それぞれ苦酸っぱいのと苦いのとであんまりおいしくない。でも、その2種類からつくられた物質はとても甘いのだ。これがアスパルテーム(商品名ではパルスイート)なのだ。

 やはり子ども向けの分かりやすい実験を見せるところも多い。例えば旭化成は「膜」をテーマにして、ろ過の実演を見せてくれる。コーヒー牛乳から乳成分をろ過して、薄いコーヒー色の透明な液体(なめてみたら味はコーヒー牛乳だった)だけをとりだすとか。これが、浄水、海水の淡水化(こっちはイオンも使うのだけど)といったところに使われているのだ。

 一方、日立製作所は大人むけだ。縦横0.4ミリのICタグを使ったミューチップの実演である。商品のタグ、あるいは商品そのものにチップを埋めこんで、それをリーダーで読みとることで、その商品の情報が得られるというもの。ただ、キッチンやリビングにある据えつけ型のリーダーというのはいいのだけど、持ち運び型のものはPDAを流用していてちょっとでかい。これは携帯電話にリーダーを仕込んだものを用意してほしかった。

顕微鏡で見たミューチップ。顕微鏡の接眼レンズにデジカメをくっつけて撮影

 鏡にリーダーをしこんでおいて、アロハシャツを持っていくとそれにあったサングラスが鏡面に表示されて、そこに顔を合わせてみようなんてのもあった。大笑いして喜んだけど、でも、実際には使わないと思います。

 実は日立にはもう一つ見るものがある。以前レポートしたTransPostが展示されているのだ。しかも、プロジェクタを4台にすることで、解像度を縦横2倍にしたというもの。

 ただ、撮影装置はないから表示されるのはありものの映像だけ。発表会のときに案として出ていた、「どっちの方向から見ても同じ絵が見える」というのも見られる。これが意外に面白い。まわりを歩いてみると、画像が自分についてくるように感じるのだ。

 富士通は、ヒューマノイドロボットHOAP2で人を集めて、ブースの中に入ると燃料電池や塗装済マグネシウムのリサイクルといった濃い話になるという構図。

 人間の手のひらの静脈を赤外線で読み取るバイオメトリクス認証の実演が面白い。実際にICカードに自分の静脈情報を記録して、それを使った認証の実際まで試してみることができる。手をかざす角度を変える、手を熱くしてるなど条件を変えたり、反対側の手を使って認証されないことを確認したりするのはお約束だ。これはもうすぐ東京三菱銀行で使われるようになるそうだ(多分、銀行では静脈画像は見せてくれないだろうけど)。

 富士写真フイルムには、未来のカメラのモックアップがある。もちろん、実際には動かないし、それを実現する技術もまだなかったりするんだけど(何が足りないかは記してある)、カメラメーカーはこういうものを作りたがっているのだということが分かるのが面白い。私は、空間でハンドスキャナを振り回すようなカメラが好きだ。HMDとセットになっていて、スキャンニングしたところがHMDのなかに映るようになるのだ。四角い空間を一瞬で撮るというカメラの概念からは大きくかけはなれたものだ。

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