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海賊版対策は“商標権”で――「CJマーク」がスタート

» 2004年09月02日 21時47分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は、海賊版への対策として「コンテンツ海外流通マーク」を作成、運用を開始すると発表した。

photo コンテンツ海外流通マーク(Contents Japan:CJマーク)とCODAの代表を務める角川歴彦氏

 CODAは、コンテンツ産業が積極的に海外での事業活動を行えるよう、海賊版対策を講じるために設立された民間組織。音楽、映像、アニメ、書籍、ゲームなどのコンテンツに関する19団体・20企業が加盟しており、日本映像ソフト協会の角川歴彦氏が代表を務めている。

 作成された「コンテンツ海外流通マーク(Contents Japan:CJマーク)」は、日本産のコンテンツであることを示すマーク(商標)として著作物に張り付けられる。CDやDVD、出版物、ゲームソフトなどはもとより、オンライン上の電子出版物・映像・画像なども対象として含まれる。既に中国・香港・韓国・台湾・米国・EUへの商標登録の出願を行っており、登録が済み次第、商標しての効力を持つことになる。

 これまで、海賊版著作物を取り締まるための法的根拠はほぼ著作権法に委ねられていたが、著作権法を根拠に海外生産される海賊版を取り締まるには、権利者が製造工場を確認するなどの確認が必要(実証責任)であり、大きな組織でなければ実質的にその作業は不可能だった。

photo 日本産コンテンツの海賊版が各国で流通しているという角川氏

 しかし、CJマークが普及すれば、商標権という角度から、海賊版の流通を事業者が確認できれば現地当局へ海賊版の規制を働きかけることが可能になる。

 「(CJマークは)商標として商品に付与されるので、マークごとコピーされれば商標権侵害、マークが削除されたらば製品品質法違反や著作権法違反として違法性を追求できる」(CODA事務局)

 政府が5月に発表した「知的財産推進計画2004」には、模倣品・海賊版対策の具体的な方法として「海外輸出統一マークの導入を支援する」と述べられており、CJマークはまさしくこれに相当する。

 「商標権という権利を使って海賊版対策を行うのは、なかなかのアイディアではないかと思う。(海賊版という問題へ)日本がどのような取り組みをしているか、諸外国に対して見せるという点においても、有意義な動きだ」(角川氏)

 CODA参加企業・団体において、著作物へのCJマーク張り付けは義務ではなく任意となっているが、事務局では当面の間は無償でCJマークのライセンスを行っていくとしており、「早ければ年内にマークのついた商品が登場するのでは」とコメントしている。

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