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五輪の勢いを年末にも〜松下が「VIERA」の新プロモーション戦略

» 2004年09月07日 22時32分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パナソニックマーケティング本部は、10月から展開する薄型テレビ「VIERA」の新プロモーションに女優の「小雪」さんとアイルランドの歌手「ENYA」(エンヤ)さんを起用した。キャッチコピーは、薄型大画面テレビをイメージして「一枚の大きさにつつまれたい」。9月7日に行われた記者発表には、小雪さんも登場して華を添えた。

photo 映画「ラストサムライ」のヒロイン役を始め、数々の映画やドラマ、CMで活躍中。今回の衣装は「美の妖精」がコンセプトだという

 挨拶に立った松下電器産業常務役員 パナソニックマーケティング本部の牛丸俊三本部長は、まずアテネオリンピック商戦が好調に推移したことをアピール。オリンピックのオフィシャルパートナー(公式スポンサー)として大々的にプロモーション展開した結果、「とくに37V型以上のプラズマTVが好調で、プラズマの中ではシェア40%を獲得した。月別の需要動向をみると、オリンピックが追い風になったことは明らかだ」と強調している。また、JEITAが発表した国内出荷統計などを引用し、「テレビ販売の実績は、業界全体で見ると前年比103%だが、松下は120%を達成した」(同氏)

photo パナソニックマーケティング本部の牛丸俊三本部長
photo 業界全体でもオリンピック前の3カ月間でデジタル家電の需要が急拡大。とくにDVDレコーダーは、7月に前年比351%となった(出典はJEITAの民生用電子機器国内出荷実績、7月は速報値)
photo アテネオリンピック開催前と開催月(6〜7月)の2カ月間でみたテレビ販売の実績。業界全体では前年比103%だが、松下は120%を達成したという

 一方、オリンピック前に急増した需要の反動により、年末商戦は盛り上がりに欠けるのではないかと指摘する声もある。しかし牛丸氏は、これを一蹴。「オリンピックイヤーの年末にはテレビの販売が非常に伸びるという過去データがある。年末年始は、家族が集まって大画面テレビを楽しむ機会が増えるとき。需要はさらに拡大するだろう」と話している。

 一般的にAV機器の需要は年末に偏る傾向があるが、シドニー五輪が開催された2000年の月別テレビ販売台数推移をみると、9月に一度ピークを迎えた後、年末にも例年を上回る需要が見られたという。さらに今年は、薄型大画面テレビという「テレビのカラー化、大画面化に続く“第4の波”が押し寄せる時期だ」(同社)。オリンピック商戦の勢いをそのまま年末商戦につなげたい考えだ。

photo 前回のシドニーオリンピックでは、年末に向けてさらにテレビ需要が伸びた(左図の赤いライン)
photo 同社では、37V型以上のプラズマテレビが2006年以降100万台規模の市場になると予測。需要の拡大に備え増産体制を整える
photo PDPの増産体制。今年4月に稼働を始めた茨城第2工場にくわえ、尼崎に建設される新工場も9月7日に起工した。「茨城の第2工場が稼働を始めたことで生産体制は年間4万台となった。また、尼崎の新工場も本日起工し、増産体制は整いつつある」(牛丸氏)

「霧の島」でロケ

 年末商戦向けのTV CMは、オリンピック一色だった今年前半と異なり、かなり落ち着いたイメージになりそうだ。ターゲットは女性。「インテリア性やデザイン性などから薄型テレビは女性に人気がある」(同社)。そこで知的な美しさを備え、女性に人気の高い「小雪」さんを起用した。

 スコットランドでもっとも美しいといわれるスカイ島でロケを敢行。TV CMは、澄みきった水と空気を感じさせる大自然の中で、“美の妖精”の衣装を纏った「小雪」さんが佇んでいるというものだ。バックに流れるのは「ENYA」の新曲。こちらはCMのために書き下ろしたもので、11月発売のニューアルバムに収録される予定だという(タイトルは近日公開)。

photo ロケ地のスカイ島は、別名「霧の島」と呼ばれる美しい島。それをイメージしてか、小雪さんもスモークの中から登場
photo VIERAがあったら何が見たいか? という質問に「自然と映画。癒されそうですよね」
photo カメラマンに「テレビも撮ってくださいね」
photo 会場にはVIERAのラインアップを展示

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