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坂道発進もできる“魔法のほうき”

» 2004年09月09日 23時01分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「ニンバス2000」よりも手軽に乗れる“魔法のほうき”が登場した。残念ながらに空は飛べないが、アスファルトの地面を最高時速10キロで自由自在に走行できる。坂道発進だってお手の物だ。

photo 動画はこちら(出典はhttp://www.ssc-lab.com/

 この乗り物、名前を「SWEEPER」(スイーパー)という。北海道大学と古河機械金属技術研究所の共同研究により開発されたもので、イメージはまさに「魔法のほうき」。違うのは、空を飛ばないことと、魔法使いがインラインスケートを履いていることくらいだ。

 「気軽に楽しく乗れて、持ち運びもできる乗り物として、魔法使いがほうきに跨るように走行できる乗り物を開発しました」と説明してくれたのは、北海道大学大学院情報科学研究科の田中孝之助教授。ちなみにSWEEPERという名前は、ほうきで「掃く」という意味のsweepに由来しているという。

 SWEEPERは、内蔵の傾斜角センサーで柄の傾きを検出し、人間の意図をくみ取る。柄の先が下がるようにすれば走行を始め、柄を持ち上げるようにすると止まる仕組みだ。

photo 体を前傾させると走行、体を起こせば停止

 なにやら「SEGWAY」(“Ginger”とか“IT”とか呼んでいたアレ)を思い出すが、今回の技術は研究チームに所属している山藤和男氏らが持っている特許「同軸二輪車における姿勢制御方法」(日本特許第2530652号)に基づくもので、このことはSegwayの発明者であるD.Kamen氏の特許申請書類にも記載されているらしい。そう。こちらが本家なのだ。

photo 内部構造

 気になるスペックは下記の通り。

  SWEEPER ver.3
動力 300ワット電気モータ
最高速度 時速10キロメートル
長さ 175センチ
重量 15.7キログラム
航続時間 一回の充電で約30分
価格 販売予定なし

 特許が「同軸二輪車」であったことからも推測できるように、SWEEPERの「ver.1」は二輪タイプだったという。しかし、二輪では安定した走行はできたものの、大きさと重量に問題があった。「そこで、ver.2では一輪車タイプに変更し、小型軽量化を図りました。でも、重量バランスが悪くなり、ロール方向の安定性が得られず、またパワーがなくて坂を登ることができませんでした」。

 ver.3では、重量バランスを見直し、さらにモータを高出力化した。これによって一輪でも安定した走行が可能になり、さらに「坂道発進もできるようになった」。

 さて、SEGWAYのときも話題になったが、日本では道路交通法の規制が結構キビシくて、新しい乗り物が公道を走るようになるまでには、超えなければならないハードルが多い。というわけで、やはりSWEEPERも今のところは公道を走ることができない。

 「SWEEPERは、遊園地やテーマパークで遊具として利用できると考えています。今のところ販売計画はありませんが、そのようなお話があれば、検討の上で技術移転することも可能でしょう」。

 SWEEPERで、「クィディッチ」ができる遊園地があったら行ってみたいものだ。

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