そして井上氏が、テレビ向けデバイスとして強調するのは「黒色の表現能力」だ。
「ソニーとしては黒にこだわりたい。黒がしっかりと出て初めて、明るさ/色の展開/高解像度感/シャープさが出てくる。これはリアプロTVにかかわらず、テレビ全体を通じてソニーがこだわっている部分。そのこだわりから考ええると、擬似階調やカラーブレイキングの問題があるDLPは、テレビ向けデバイスの選択肢として考えられない。DLPは高いコントラスト比で一見しっかりと黒が出ているようにみえるが、階調表現が弱いため黒がべたっとしてる。3つのパネルを使うことで、初めて豊かな階調表現ができる」
リアプロTVの魅力は、ブラウン管/液晶テレビでは真似のできない50インチ以上の迫力ある大画面が、プラズマテレビより半額以下の低コストで楽しめる点。大画面になればなるほど高精細表示が必要となるが、この高精細化に向いているデバイスが、ソニーが開発したSXRDだ。米国で発表したSXRD搭載70型は、現時点でフルハイビジョン(1920×1080ピクセル)表示に対応した唯一のリアプロTVでもある。
「コストパフォーマンスでは透過型液晶、高精細ハイスペックではSXRDという2方式でDLPを挟み撃ちにできる。特にフルハイビジョンをすでに実現しているSXRDの領域には、DLPではとうぶん入り込めない。製品ラインアップでも、2つのマイクロデバイスを持つソニーは普及価格からハイエンド機まで構成しやすい。透過型液晶&SXRDでナンバー1シェアをとり続けていきたい」
最後にもう一度、日本市場でのリアプロTV展開についてたずねてみた。
「米国でのリアプロTV成功を、全世界でも展開しようと計画している。この“全世界”の中にはもちろん日本も含まれている。国内のリアプロTV市場には必ず戻ってきます」
8月のWEGA新製品発表会では、国内市場向けグランドベガの新製品は登場しなかった。だが、発表されたプラズマ/液晶テレビはすべて9月20日からの発売で、最大需要期として期待される年末商戦まではまだ3カ月以上残されている。
久しぶりにリアプロTV「グランドベガ」の国内新製品が、この年末に登場するかもしれない。
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