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「DVD-RへのVRモード記録」が普及すると考える理由(2/3 ページ)

» 2004年09月29日 19時50分 公開
[北川達也,ITmedia]

自然の流れとしてサポートされたDVD-RへのVRモード記録

 DVD-RへVRモードで記録することによって、ユーザーが得られる最大のメリットは、いうまでもなく、安価なDVD-Rメディアを“より便利に”使えることだ。特にこれからを考えると、今後、増加が予想される「コピーワンス番組を保存できるようになる」というメリットは大きいと言えるだろう。

 というのも、コピーワンス放送では、(1)一度、記録型DVDメディアに記録した番組を別のメディアに複製することはできない、(2)HDD/DVDレコーダーでは、HDDに録画したコピーワンス番組を記録型DVDメディアに「ムーブ(移動)」することはできるが、その逆の、記録型DVDメディアからHDDへのムーブは行えない――という制約があるからだ。

 これまでDVD-RがVRモードをサポートしていなかったため、コピーワンス番組の録画には、DVD-Rよりも価格が高いDVD-RAMやDVD-RWなどのメディアを使うしかなかった。しかし、せっかく書き換え型メディアであるDVD-RAMやDVD-RWを使っても、記録したコンテンツをHDDに移動させることすらできないなど、実際のメディアの使い方は、DVD-Rに記録したときと大差なかったのである。

 では、なぜDVD-RAMやDVD-RWに記録したコピーワンス番組をHDDに逆ムーブできないようになっているのだろうか。もし、それができるのならDVD-RへのVRモード記録という需要は、生まれなかったかもしれないから、その事情を簡単に説明しておこう。

 逆ムーブができない理由を一言で言えば、それを認めると、コピーワンス番組で使用される著作権保護技術「CPRM」では、PCを使うだけで、誰でも簡単に番組の“複製”が作れるようになってしまう、ということがある。事実上、著作権保護の仕組みが壊れてしまうのだ。

 (逆ムーブができたとして)具体的にその手順を説明すると、VRモードで実際の映像の保存に使用されるフォルダ「DVD_RTAV」をメディアからPCのHDDにコピーし、次にレコーダーのHDDにコンテンツを逆ムーブする。その後、最初にPCに保存しておいた「DVD_RTAV」フォルダを元のメディアにコピーし直す。この状態で、レコーダーのHDDと元のメディアの両方に同一コンテンツが存在することになり、複製が作成できてしまうのである。

 実際、試しに、コピーワンス番組を記録したDVD-RAMを使用し、DVD_RTAVフォルダをPCのHDDにコピーした後、そのメディアを“フォーマット(初期化)”し、PCのHDDから「DVD_RTAV」フォルダをDVD-RAMに書き戻して再生できるかどうかテストしてみたが、結果は、まったく問題なく再生できてしまった。

 もしこの複製作業で特殊なソフトを使い、スクランブルを解除しているというのなら、法的に規制するなど何らかの形で規制できるかもしれない。しかし、上記の手順を見れば分かるように、コピー作業が何回か必要になり、時間こそかかるが、作業そのものは単純で、特に違法な部分はない。

 これでは、メーカーとして、コピーワンス番組を記録型DVDメディアからレコーダーのHDDに書き戻す、逆ムーブ機能を実装することはできないわけである。

再生できるDVDプレーヤーがないことがデメリット

 とはいえ、DVD-RへのVRモード記録は、良いことばかりではない。

 まず第一に、VRモードで記録されたDVD-Rは、「VAT(Virtual Allocation Table) UDF」と呼ばれる方式を用いて記録されており、対応した機器(DVDプレーヤー/レコーダー)以外では再生できない。実際にVRモードで記録したDVD-Rメディアを何台かの機器で再生してみたが、いずれも再生できなかった。

機種 再生可否
BDZ-S77 ×
RD-XS41 ×
DVR-2000 ×
DMR-HS2 ×
DVD-S75 ×
DV-NC550 ×
DVD-R(VR)で記録されたメディアは既存のDVDプレーヤー/レコーダーでは再生できない

 VRモードで記録されたDVD-Rの再生は、基本的には、DVDプレーヤ/レコーダーのソフトウェアを変更することで対応できる。しかし、すでに発売中の製品のソフトウェアを変更することは、新たな検証作業が発生することになる。

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