ITmedia NEWS >

「スゴ録」はどこまで進化した? 基本機能をチェックレビュー(3/3 ページ)

» 2004年10月19日 21時22分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 実際に8倍速対応のDVD-R、DVD+Rメディアを利用して、ほぼメディア一杯にダビングしてみた。書き込みにかかった時間は下表の通り。「SEP」で録画した番組なら、DVD-Rで約50倍、DVD+Rで約62倍相当という結果だ。なお詳細は後述するが、DVD+RへはSLP/SEPで録画した番組の高速ダビングが行えないため、実際にはEPで録画した番組が約30倍速が最高となる。カタログスペックよりは遅いが、このへんは同じく最大8倍速ドライブを搭載する他社も似たような状況といえる。また、DVD+Rの方が書き込みが高速である所を見ると、DVD-RにはZoneCLV、DVD+RにはパーシャルCAVで書き込む同社製ドライブを採用していると見て良いようだ。

photo 8倍速メディア利用時のダビング速度はDVD+Rの方が高速。ファイナライズに2分以上要するあたりが少々気になる

 書き込み品質の検証は、DVD-R、DVD+Rにそれぞれ「That's」ブランド(太陽誘電製)の8倍速対応メディア、さらに激安8倍速DVD-Rメディアとして入手しやすい「Smartbuy」ブランド(台湾Prodisc製)を使用し、計測用ドライブとして「Nutec DDW082」を用いている。あくまで“お手軽”検証環境であり、実際には読み出し側のドライブとの相性問題などもあることを配慮して見て頂きたい。

photo That'sブランド8倍速書き込み対応DVD-R(クリックで拡大)
photo SmartBuyブランドの8倍速書き込み対応DVD-R
photo That'sブランド8倍速書き込み対応DVD+R

 DVD-Rは、Thst's、SmartBuyともに書き込み品質には特に問題ない。再内周部(書き込み開始部)でいきなり高いPIエラーを示しているのが気になるが、PIエラーの平均値も低く、PIFも少なめで十分優秀といえる。激安メディアのSmartbuyでも実用的な書き込み品質を維持している点は評価できるだろう。

 これに対し、DVD+Rでは再内周部と最外周部以外で盛大にPIエラー、PIFが発生しており、かなり気になる。再生は問題なく行えるため、致命的な問題ではないのだが、DVD-Rでの書き込み品質が優秀なだけに、この落差は気になる。

 DVDドライブとメディアの相性問題と思いたいが、That'sブランドはDVD+Rでもメジャーブランドの1つだけに相性問題で片付ける訳にもいかない。もっともDVD+Rメディアをあえて持ちいるメリットは書き込み速度が少々速いという程度。今回の検証結果を見る限り、ライトワンスならばDVD-Rを用いた方が正解といえそうだ。

 また、録画の段階で注意が必要なのだが、SLP、SEPモードで録画した番組はDVD+R、DVD+RWメディアに対して高速ダビングが行えない。DVD+RWではDVD+VRフォーマット、DVD+RではDVDアライアンスのガイドラインが許さない解像度、ビットレートになるための制限のようだ。こういった点まで配慮すると、あえてDVD+R、DVD+RWをサポートするメリットが何処まであるのか、という点にも少々疑問が残ってしまった。もちろん多くの人は大きなメリットとしては認知していないと思うのだが。

弊害もあるが「おまかせ・まる録」「追跡録画」が魅力

 RDR-HX70では、録画した番組をサムネイル付きの一覧表示のほか、サムネイルなしのリスト形式でも表示できる。タイトル名などによるソート(並べ替え)も可能だ。サムネイルなしであればスクロールも高速で、大量に録画した後でも目的の番組を探し出すのは比較的容易といえる。

photo これはサムネイルなしのリスト形式の一覧で、タイトル名順。先頭のアイコン文字はきちんと無視して並べ替えてくれる
photo こちらは未視聴分の一覧。未視聴で新しく録画した順に並んでいるのがわかる

 反面、やはり惜しいなと思えるのは、フォルダ機能やそれに準じた機能がないことだ。「おまかせ・まる録」「追跡録画」を使いこなせば予約録画を行う回数も減るだろうから、録画予約時に保存先フォルダの指定があっても有効に利用できると思うし、おまかせ録画分は条件ごとに自動的にフォルダ分けするような機能を持たせてもいいのではないだろうか。HDDが250Gバイトあれば、検索性にもそろそろ配慮が欲しい感じだ。

 また、前回取りあげた「追跡録画」にも弊害があることは気にかけておいた方が良い。時間帯を指定する通常の繰り返し予約録画であれば、録画予約の段階で、ほかの録画予約と録画時間帯が重複しても把握できる。ところが「追跡録画」では、録画する時間帯が変動するので、録画予約時にはわからなかった録画時間帯の重複が発生する可能性がある。このため通常の録画予約にも「おまかせ録画」同様に優先順位の概念が導入されている。録画時間帯の近い番組を予約する場合には十分に注意が必要だ。

photo 通常の録画予約にも優先順位の概念が導入されている。「追跡録画」は非常に優秀だが、時折、予約一覧を確認しないと、優先順位の問題から見たい番組を録り逃す可能性もあるだろう

 最後に気になった部分をあげてみたが、新しいスゴ録は旧モデルで不足していた部分の改善も多く、HDD+DVDレコーダーとして大きな欠点はなくなった。そして使い勝手面で改善の進んだ「おまかせ・まる録」、見たい番組を録り逃さない「追跡録画」は、間違いなく大きな魅力だ。連ドラの録画が多い、時間変動の多い深夜帯の番組の録画が多いといった人には、現状で間違いなくベターなレコーダーといっていい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.