「レンタルビデオやセルDVDと異なるのは、“品切れ”や“レンタル中”がないこと。わざわざ店に出向く必要はなく、返却の手間もないため延滞料金の心配がいらない。一方、コンテンツホルダーは(DVDなどの)在庫を抱えるリスクがないため、従来は販売できないようなニッチなコンテンツでも、気軽に流通経路に乗せることができる。テストマーケティングなど、新しい販売手法としても活用できるだろう」(パワードコム専務執行役員、マーケティング・商品統轄本部長の新井均氏)。
事業化のスケジュールは未定だが、パワードコムの中根滋社長兼CEOは、「3月末まで技術的な検証を中心にトライアルを行い、その結果を整理して事業化のパラメータを決めていきたい」と話している。
今回、著作権保護技術として採用された「CPRM for Network Download」は、DVDレコーダーなどでお馴染みのCPRM(Content Protection for Recordable Media)をネットワークダウンロードに対応させたものだ。今年8月に4C Entity(東芝、松下電器、IBM、インテルが加盟するコンテンツ保護規格の策定団体)によって規格化が完了したばかり。
ひかり de DVDでは、あらかじめ暗号化したコンテンツをネットワーク配信する。DVD-RAMディスクに保存する際には、ディスクが持つ固有のメディアIDを使用して復号鍵を生成、一緒に書き込む。仕組みはCPRMそのもので、出来上がったメディアも「コピーワンスのデジタル放送を録画した場合と同様に扱える」(東芝ジタルメディアネットワーク社、デジタルAV事業部 DAV商品企画部 参事片岡秀夫氏)。
したがって、「セル方式」で購入したコンテンツなら、CPRM対応機に限られるものの、ほかのDVDレコーダーやDVDプレーヤーにDVD-RAMディスクを持っていって再生可能。ユーザーがお気に入りの場所にチャプターを設定したり、プレイリストを作成したりといったこともできるという。
「今回のサービスは、標準規格のCPRMを使用した点がポイント。流通経路がなんであれ、著作権保護されたコンテンツをDVDに焼こうとすれば、現状ではCPRM対応が必須になる」(片岡氏)。CPRMは標準規格であり、しかも普及しているため、代替技術の登場は考えにくい。DRM技術は数あるが、DVDメディアを最終目的地とするネットワーク配信サービスなら、今回のサービスプラットフォームが最も現実的な手段になるという。
「世界規格を組み合わせて、しかも(コンテンツプロバイダーから)アディショナルなコストを取らないという点で、“ひかり de DVD”は今後普及するソリューションといえる」(片岡氏)。
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