再生音に関しては、リアが一体型ということで、やはり左右の分離が気にかかるが、問題なくきれいに分かれる。もちろん、リアスピーカー2本の環境には及ばないが、同じ一体型の「HTP-S2」に比べれば、かなりセパレートに近い印象だ。真後ろあたりの方向から音が来るのではなく、あくまでもすっぽりと幅広く包んでくれる。また、後方左右の方向感も十分に感じられた。
低価格製品に比べると、さすがに低音の響きは自然で、しかも、ずっしりと響いてくる。中高音の耳障りもよく、銃声や打撃音が盛大に鳴る場面でも不快さはない。全体に余裕が感じられる印象だ。スピーカーの形状はフロント2本のみ同一だが、バランスも決して悪くはない。
リアスピーカーのバッテリーは、5.1chで聴き続けたところ、3時間ほどで1目盛り減った。スペック上では充電時間が約2時間、5.1chサラウンドの連続再生時で約10時間、2chステレオ再生時で約5時間となっている。厳密には計測できなかったが、実際の使用でもその数値に近いと思われる。
ただ、実際問題として、バッテリーでの使用はあくまで予備的なものにとどまるだろう。ワイヤレスステレオスピーカーとしての利用では、信号到達範囲の点で用途が限定される。また、セッティングの自由度を高めるという点でも、10時間ごとに電源ケーブルを接続して充電しなければならないのだから、結局はつなぎっぱなしというケースに陥ることが大いに考えられる。しかし、こうした製品を望んでいた人はいるだろうし、あくまで「バッテリー駆動“も”できる」と好意的に受け止めたい。
それに、自分以外の家族も使うリビングでのホームシアター構築では、ほかの機器はじゃまにならない隅に追いやれても、リアスピーカーだけは設置場所に困るというケースも多々ある。そういう意味では、日常の音楽再生はフロント2本ですませ、映画を観るときだけ、(別の部屋など)じゃまにならない場所で常に充電されているリアスピーカーを持ってきて設置するという使い方も、意外と便利なのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR