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「PS3」のGPUは“GeForce6以上”になる“あの次世代機”の描画性能をズバリ予想(3/5 ページ)

» 2004年12月09日 01時45分 公開
[トライゼット西川善司,ITmedia]

 とにかく、PS2では質感の面で画一的になりがちだったゲームグラフィックスに、新しい絵筆とキャンバスがもたらされるような革新がもたらされるのである。

 このシェーダプログラムの作成には光学現象や物理現象の理解とその現象モデルの簡略化とその実装の技量が求められるので、高レベルな物を開発しようとすれば、それなりに人的な開発コストはかかってしまう。こうした問題については、一足先にプログラマブルシェーダ時代を迎えているMicrosoft Xbox陣営や各PCゲーム開発スタジオに一日の長がある。特にMicrosoftは、Xbox2でプログラマブルシェーダベースのゲーム機としては一足早く二世代目を迎えられることもあって、彼らの提唱する新しい開発フレームワーク「XNA」では、そうしたシェーダプログラム開発面での敷居の高さを緩和する仕組みまでを含んでいる。

 それではSCE側は、PSフォーマットにとっては新概念となる、このプログラマブルシェーダの導入についてはどう考えているのだろうか。

 これについては、さすがにPS2の時(?)のような「まずは各自で勝手にやってみくださいな」的なことにはならないようで、NVIDIA側が持つさまざまな開発ツールやミドルウェアツールの技術を応用した開発キットを、SCE側が開発者達に提供することになるようだ。今回の技術提携の発表の際にもこのことが記載されている。

 ちなみにNVIDIA側はシェーダプログラミング言語「Cg」および「Cgコンパイラ」、そして一般デザイナーでもシェーダプログラムのオーサリングや実験が行える「FX COMPOSER」の技術を持っている。おそらく、こうした技術がPS3開発キットに応用されるものとみられる。

 PSフォーマットとしてはプログラマブルシェーダアーキテクチャは未知の技術かもしれないが、繰り返すように最先端のリアルタイムグラフィックスではすでにこの時代に入って久しいので、PSプラットフォームの方がPS3で遅れを取り戻すという格好になる。この分野のノウハウは徐々に蓄積されつつあり、関連書籍も(その多くが英語ではあるが)多数出版されており、情報には困らない。

 また、これまでPS2とXbox1では互いに異世界のような認識だったが、PS3とXbox2では両者がほぼ同世代のプログラマブルシェーダアーキテクチャとなるので、情報の共有、具体的にいってしまえばシェーダプログラムの流用はたやすいと思われる。

 もちろんメインプロセッサ(CPU)がPS3は「Cell」でAPIはOpenGL/ES、Xbox2は「PowerPC」ベースでAPIはDirect3D(WGF?)となるので、移植(ポーティング)などの作業はそれなりにパワーが必要だと思われるが、現在のように同一タイトルでPS2とXbox1のグラフィックス表現の格差がある……といった事態はだいぶ解消されるのではないか。もっともそのプラットフォームの独自性の発揮というのが逆に難しくなるともいえるが。

photo NVIDIAのシェーダオーサリングツール「FX COMPOSER」

PS3のGPUはどんな中身になる?

 具体的にPS3のGPUがどんなものになるか、少々気ままに想像を巡らせてみよう。

 まず、基本的な内部構造で気になるのは「プログラマブル頂点シェーダ」についてだ。

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