ITmedia NEWS >

iRiverが狙う“次の一手”(3/3 ページ)

» 2004年12月22日 17時16分 公開
[本田雅一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

“フラッシュメモリ型のメーカー”から脱皮する

 iRiverがここまで成長した背景には機能の豊富さといった面もあるが、何より同社がサムスン電子のフラッシュメモリ代理店で最大手のレインコム系列だった事が大きい。グループ全体でのスケールメリットを生かし、最新の大容量フラッシュメモリチップをいち早く安価に入手できた。

 しかしHDD型の伸びはフラッシュメモリ型を浸食するほどの勢いがある。

 「HDD型とフラッシュメモリ型は使われ方が大きく異なる。たとえばスポーツをしながらHDD型は使わないだろう。棲み分けることは可能だ。このため、今後はHDD型に力を入れる。H10はその第1弾となるが、iTunesの持つ機能はほとんど入れ、それ以上の機能を実現できるiRiver Plusというソフトウェアも開発した。今後はiRiver Plusを活用し、使いやすいユーザーインターフェイスを構築することでHDD型を伸ばしていく」(遠藤氏)

 H10の発表会では、0.85インチHDD採用機と思しき小型HDDプレーヤーも参考展示した。最終的にはフラッシュメモリ型とHDD型の比率を半々にまで持って行く見込みだ。これまで既存工場の一部を間借りしてHDD型を生産していたが、3月には中国・東莞(トンガン)市に自社工場を構えて増産体制を整え、ワールドワイドでの供給体制は従来の10倍となる。

 ソフトウェアに力を入れるのは、音楽配信サービスへの対応において、PC上の使いやすい管理ソフトが不可欠になるからという理由もある。ハードウェアとサービスを統合するための媒介役として、ソフトウェアの充実は欠かせない。

 「来年1月のInternational CESでは、Microsoftのビル・ゲイツ氏が、サブスクリプション(購読)型の音楽配信サービスに関するフレームワークを発表する予定だ。H10とiRiver Plusは、すでにそのフレームワークに対応している」と遠藤氏。iRiverは韓国において、すでに音楽配信サービスを開始済みだ。

 しかし、以前所属したダイアモンドマルチメディアおよびリオ・ポートドットコム時代、日本における音楽配信サービスの厳しさも十分に経験している。

 「日本でも、サービス開始の可能性は探っている。しかしそれは2006年以降になるだろう。音楽配信サービスが普及するためには価格の安さがカギとなる。日本はレンタルCDビジネスが多いという事情もある。音楽の権利を保有しているところが同じならば、どこがサービスを行っても大きな違いは出てこない。音楽配信サービスの普及が早期に進むことはないだろうが、いずれにしても“現時点で対応しているかどうか”が、ユーザーの安心感に繋がると考えている」(遠藤氏)

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.