ITmedia NEWS >

三波共用テレビ、「アンテナ問題」の難しさ(3/3 ページ)

» 2004年12月24日 12時52分 公開
[西正,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

新しいメディア推進にはNHKの利用が欠かせない?

 後は、110度CS放送にNHKが参画していく道を開くことも、今さらながらではあるが、十分に検討していく価値があるだろう。

 NHKは110度CS放送への参画を希望していた。しかし、何かあるたびに唱えられる「肥大化論」を理由に、新聞協会や民放側が反対、阻止してしまった経緯がある。今でも、別テーマで「NHK肥大化論」が展開されていることからすると、110度CS放送への参画が簡単に認められるとは思えないし、NHKにとっても110度CSが今のような姿になった段階で参画を認められても釈然としないに違いない。

 とはいえ、新たなメディアが登場してきた際には、マーケットができるまでの間、公共放送たるNHKに先導役を任せるのが早道であると筆者は考える。おそらくNHKが参画していたら、今のアンテナ問題は、かなり違った様相になっていたことであろうし、既に着々と解決が進んでいた可能性も高い。そうした牽引力は、先に述べたBSアナログ放送での実績を見ても明らかである。

 「後悔先に立たず」とも言える110度CS放送の苦労を今後も繰り返していくことになれば、サービスを提供する事業者と、視聴機会を逸したままの視聴者のいずれにも不幸なことにしかならない。このことは銘記されてしかるべきだろう。

西正氏は放送・通信関係のコンサルタント。銀行系シンクタンク・日本総研メディア研究センター所長を経て(株)オフィスNを起業独立。独自の視点から放送・通信業界を鋭く斬りとり、さまざまな媒体で情報発信を行っている。近著に、「モバイル放送の挑戦」(インターフィールド)、「放送業界大再編」(日刊工業新聞社)、「どうなる業界再編!放送vs通信vs電力」(日経BP社)、「メディアの黙示録」(角川書店)。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.