ITmedia NEWS >

温度を問わず除菌する“Ag+イオンコート”〜日立製作所特集:お父さんのための「食器洗い乾燥機」入門

» 2005年01月05日 17時51分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 食器洗い乾燥機は、一般的に60〜70度のお湯を使って食器を洗浄する。このため、デフォルトで除菌効果を期待できるのが一つのメリットだ。しかし、日立ホーム&ライフソリューション(日立H&L)が販売している「きらきら生活」(KF-W70EX)には、消臭剤などで“お馴染み”の「Ag+」(銀イオン)除菌機能がある。なぜ、除菌機能が必要だったのか。理由を同社に聞いた。

photo 日立の「きらきら生活」(KF-W70EX)。スペック表はこちら

 日立H&L、電化事業部事業企画部キッチンソリューショングループで食器洗い乾燥機の製品企画を担当する前川研主任によると、除菌機能の検討は、「デリケートコース」の設定と同時に始まったという。

 「通常の洗浄コースなら、60度以上の温水を使いますから、除菌にも問題はありません。しかし、たとえば乳幼児用のプラスチック容器など60度(まで)の耐熱容器では、何度か洗うと変形してきてしまう可能性がある。そこで“デリケートコース”を設けました」。

 デリケートコースは、55度のお湯を使って洗いとすすぎを行う洗浄コース。プラスチック製の弁当箱やほ乳瓶といったデリケートな容器まで洗浄可能になるため、とくに子どものいる家庭では利便性が高い。しかし、デリケートコースで洗浄するときは低温のため除菌効果が落ちてしまう。「そこで、別途除菌機能を付けようと考えたわけです。電解質除菌やカテキンなども検討しましたが、最終的に抗菌・防臭製品などで認知度が高いAg+を採用しました」。

 銀イオンは、もともと浴槽水の除菌や救急絆創膏などに使用され、安全性と殺菌効果は実証済み。しかも銀イオンは付着している限りは菌の繁殖を抑えるため、持続性にも優れる。おりしも資生堂が消臭スプレー「Ag+」をTVCMなどで大々的に打ち出していた時期でもあり、一般ユーザーの認知度が高かったことも後押しした。

 もう一つの理由は、Ag+イオンコート除菌の実装方法が「食器洗い洗濯機に適していた」ことだ。KF-W70EXの庫内を覗いてみると、青いプラスチック製のカセットが見えるが、これがAg+イオンの“素”だ。

photo 庫内底部にはめ込まれているAg+イオンカセット

 「このカセットは、ポリプロピレン(プラスチックの一種)に銀イオンを練り込んだものです。水溶性が高く、温度が高いとイオンが溶出してくる。通常の家電なら温度を上げる機構が必要ですが、温水を使う食洗機なら入れるだけでいい。食洗機向きでしょう?」。

photo 側面は波状にして表面積を広くした
photo 上面に「Ag+イオンカセット」の文字。約2年間はメンテナンスフリー

 構造は極めてシンプルで、コの字型のカセットをはめ込んでいるだけ。複雑な機械も回路もまったく必要ない。それだけでノズルや庫内を広範囲に除菌できるうえ、前述のように抗菌効果は持続する。まとめ洗いなど、一日に一度しか動かさないような使い方をする場合にも有効だろう。また、カセット1つで約1500回分も使え、経済性にも優れているという。

 「一日に2回使っても約2年間持ちます。ただ、効果が切れても(カセットの)外観は変わらないため、食洗機本体の“高温除菌モード”ボタンに警告ランプが点灯する仕組みになっています」。

photo 向かって左側の除菌モードボタンにランプが点灯したら交換時期

 さらに、KF-W70EXは約80度のお湯を使って高温除菌を行うモードも搭載。「高温でも低温でも」除菌効果のある製品になったという。

 「食器洗い乾燥機には、やはり清潔さが重要です。とくに夏場は食中毒などのニュースも多く、小さいお子さんからお年寄りまで、除菌に対する意識が高くなる。通常の洗浄はもちろん、低温洗浄でも安心して使える食洗機になったと思いますよ」。

photo 7人分/約60点の食器が入る庫内。他社は6人分というケースが多い中、7人分に拘ったという(関連記事)
photo 上部ノズルも回転式にして洗浄力の向上と使用水量の削減を図った。同社従来製品に比べて約21%の節水が実現している。なお、ご飯の“デンプン汚れ”などは上カゴに入れるほうが洗浄効果が高いそうだ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.