ITmedia NEWS >

ビデオカメラの現在、そして未来(3/3 ページ)

» 2005年01月24日 15時16分 公開
[小寺信良,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 同社は昨年からプロ機ではテープフォーマットからの脱却を計り、メモリーカードベースのビデオカメラ、P2シリーズを製品化した。プロ機では長い時間をかけてようやくDVCPROフォーマットを成功させたばかりなのに、ずいぶん性急な動きのように思える。

 だが同社がDVDビデオカメラを自社開発しておらず、日立のOEMで賄っている点や、HDV規格賛同メーカーに名を連ねていないことを考えると、過渡期の開発をばっさり捨てて一気にメモリーベースのHD収録へ展開しようという動きが見えてくる。

 コンシューマー向けでSDサイズの動画撮影なら、すでにD-Snapシリーズで製品化しているが、その出自からオールインワン的な性格が強く、パナソニックとしてはまだ本格的なビデオカメラという位置づけではない。

 以前からP2の製品発表会などでは、メモリーカメラのコンシューマーモデルの登場を示唆している同社だが、「それはD-Snapか?」という問いには常にNoと答えている。

 メモリーカードでHD解像度の映像を記録するという下地も、すでに堅め始めている。昨年10月から市場に出始めた、高速SDメモリーカード「PRO HIGH SPEEDシリーズ」がそれだ。従来の2倍となる20Mバイト/秒の転送速度というから、bpsに直せば約160Mbpsとなる。

 HDVおよびDVフォーマットの転送レートが25Mbpsであることを考えると、それほど高圧縮せず50MbpsぐらいのMPEG-2でも余裕で対応できることになる。また記録メディアに駆動部分がないことから、カメラ設計はかなり楽になるはずだ。あとはレンズやCCDなど、光学系の開発次第となる。HDVグループが手がけていない線として、720pと1080iの1台両対応を狙ってくる可能性は高い。

 昨年秋、「HDR-FX1」のデビューでコンシューマービデオのHD時代が幕を開けた。今年はこの舞台で、久しぶりにソニーVS.松下の対決が火花を散らすことになるかもしれない。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.