少し扱えば慣れることのできるインタフェースだが、操作していて混乱することもあった。メニュー操作については、基本的にはMENUキーを動かすことで「選択」、押し込むことで「決定」、前画面に戻る場合には再生/停止キーを「左」と覚えておけばよいのだが、表示されている画面によっては「再生/停止キーを右」で「決定」や「選択」という動作が可能な場合がある。
左右どちらのジョグキーを使ってもスムーズな操作ができるようにという配慮だとは思うが、操作に統一性がないように感じられる。小型軽量さはフラッシュメモリタイプの大きなメリットだが、液晶画面や操作キーの数も同時に少なくなることで、“明快な操作性”が失われやすい。小さなことかもしれないが、気になったポイントだ。
音質効果については、ボーカル/ポップ/ロックなど7つのプリセットを備えたイコライザーや、中高音を補う「BBE」、低音を増幅する「Mach3Bass」、MP3圧縮時に発生するロスを補完する「MP Enhance」、擬似的にサラウンド効果を生み出す「3D Surround」などが用意されている。
すべての音質効果をオフにして試聴してみたところ、特にクセは感じられず、バランスの良さを感じた。これならばロックやボーカル、ポップなど、音楽の種類を選ばないだろう。
BBEを始めとしたすべての音質効果は結構強力に効くので、あまり強くエフェクトをかけると原曲のニュアンスを壊しかねないので注意が必要だ。ただ、ポータブルオーディオを持ち歩いて音楽を聴いていると、どうしても低音が弱く感じたり、全体的な“押し”が弱く感じることがある。そうした際には強い味方になるだろう。
ヘッドフォンはiAUDIO U2やiAUDIO 4などに付属するものと同様に、後部が出っ張った独特な形状をしている。本製品と組み合わせてみたところ、中域から高域がスッキリと伸びる印象で、標準付属品としては高いクオリティを持っているように感じた。
そのほか、ライン入力端子と内蔵マイクを利用したレコーディング機能や、FMラジオチューナーも搭載する。録音時に生成されるファイルはWAVもしくはMP3で、ビットレートは8/11/16/32KHz(WAV)、96/112/128Kbps(MP3)から選択できる。ライン入力に自動的に反応して録音を開始するシンクロ機能や、マイクに音を感じたときに自動的に録音を開始する機能も備える。
フラッシュメモリタイプのデジタルオーディオプレーヤーといえば、つい先日から発売開始された「iPod shuffle」の印象が強烈だが、iPod shuffleは「液晶無し」「ランダム再生メイン」とオーディオプレーヤーとしては極めて特殊なキャラクターを持った製品だ。
このiAUDIO 5の外見や搭載している機能は、正直に言ってそう目新しいものではなく、iAUDIOシリーズの正常進化版と言える製品だ。しかし、奇をてらっていないからこそ、小型オーディオプレーヤーとしては非常にこなれた製品に仕上がっている。
音質面についてはBBEやMP Enhanceなどが目を引くが、それらの効果をオフにしても十分に満足のいく音質であり、必要に応じて各種の効果を付加していけばさまざまな局面で満足のいくリスニングが楽しめる。本体の質感も高く、所有することに満足感を与えてくれる製品であることも特筆すべき点だろう。
ただ、メニュー操作を含めたインタフェース面でわかりにくさが感じられるのはマイナスだ。フラッシュメモリタイプのメリットをいかすために、ボディの小型化と高機能化を同時に進めた影響であることは理解できる。しかし、毎日持ち歩き、手軽に使うことを求められる製品である以上、直感的に操作できるインタフェースが必要なはずだ。
モノとしての質感、音質面では高いレベルに達しているだけに、次期モデルでは「より簡便な操作方法」について、より洗練されることを期待したい。
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