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風変わりな外観から“直球サラウンド”――「NIRO 600」レビュー:フロントサラウンド特集(3/3 ページ)

» 2005年02月01日 09時00分 公開
[浅井研二,ITmedia]
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 初期設定は特に必要ない。フロントの音量を基準に、リモコンでサブウーファー、センター、サラウンドの音量を個別に+/−できるほか、高音/低音の調整も可能だが、実際に聴いているうちに、気になればいじればよいというレベルだ。

photo リモコンは各社AV機器に対応。テレビ、ビデオ、DVD/CDプレーヤーのほか、BSデジタル/ケーブルテレビチューナーの一部機種もプリセットされている

2ch/5.1chともに抜けのよい上々の音質

 まずは、ステレオの音楽を再生してみよう。2chソースはドルビーサラウンドプロロジックIIでのデコードも可能だが、音楽を聴く際はダイレクト出力したほうがいいだろう。この場合、音はフロントL/R、つまり、横へ外向きに取り付けられた2基のスピーカーユニットからしか鳴らない。

 フロントL/Rが自分のほうへ向いていないため、どうなるのかと若干不安だったのだが、左右の音声はともに、サテライトスピーカーから1メートル以上離れた位置へ見事に定位する。ボーカルなど、センター定位の音像として録音された音は、その意図どおりに中央から聴こえてくる。各楽器の微妙な位置関係すら感じ取れる。

 ただし、通常のスピーカー配置での音響とは若干肌合いが異なることもたしかだ。通常のステレオスピーカーの配置から得られる音場が、仮に“∧”とか“∩”の感覚だとしたら、この製品ではサテライトスピーカーを中心とした点から放射状に音が出てくるため、どうしても“∪”という感覚を受けがち。ただ、これは視覚からの影響や、先入観もあるとは思う。それに微妙に異なるとはいっても、ステレオ感はあり、定位もしているのだし、必ずしも通常のスピーカー配置と同じ感覚でなければまずいわけでもない。

 次に、5.1ch音声収録の映画を鑑賞。左右の定位は音楽再生時と同様で、さらに、右から左への音の移動などもスムーズだ。もちろん、センタースピーカーは最も理想的な位置を与えられているのだから、セリフの安定感は抜群。問題は後方のイメージだが、これも前述の最適とされるリスニングポイントであれば、きちんと回り込んでくる。

 音質は5.1ch、2chソースとも、抜けがよく、上々の印象。サブウーファーからの重低音の響きも自然だ。難点を挙げるとすれば、各音の分離感がもう少しほしいかなという感じ。また、1ユニットという構成上、小音量時にはどうしてもサラウンド効果やステレオ効果が薄れてしまう。ただし、この場合は前述のMovieMouse(2万2800円)を併用することで回避可能だ。


 NIROシリーズは一見風変わりだが、そこから流れ出る音は、決してごまかしやトリックではなく、5.1ch分が出力されている。また、壁からの反響音を利用する仕組みではないので、部屋の形状や家具などの制約をあまり受けないのもありがたい点だ。今回はリビングルームへの設置を想定して「NIRO 600」を取り上げたが、PCと「NIRO 400」の組み合わせでデスクトップシアターを構築するのもいいだろう。両者はスピーカー出力の大小があるのみで、機能面では特に差はない。

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