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Universalに聞く――HD DVDを選んだ理由とは?連載:次世代DVDへの飛躍(3/5 ページ)

» 2005年02月15日 12時24分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「映像を消費者に供給するための媒体としては、十分な大きさです。ゲームなど他用途に関して、われわれがコメントする立場にはありませんが、少なくとも映像に関していえば、不満はありません」。

 「映像供給のための光ディスクを考えるとき、ビットレートが重要なファクターになります。しかし、技術の進歩で低いビットレートでも十分な画質が得られるようになりました。われわれとしては、フルHD映像であってもビットレートは10〜16Mbpsで十分だろうと考えています。質の良い圧縮であれば、10〜16Mbpsでも見た目には無劣化といえます」。

――BD陣営は、将来の技術的な進歩により、2層50Gバイトも十分にローコスト化できると話しています。さらに100Gバイト、200Gバイトといった可能性も論じられています。そうした0.1ミリカバー層構造の将来性には目を向ける必要はないと考えていますか?

 「近年のハリウッド映画は、Digital Intermidiate(通称、DI)、つまりオリジナルフィルムの複写を光学的に行うのではなく、1コマごとフィルムスキャンでオリジナルネガをデジタル化し、以降の製作を行っています。オリジナルネガのフィルムスキャンで製作すると、フィルム複写による粒子感の少ない映像になり、以前ほどグレインの多い映画は減りました。DIは20〜30%の新作ハリウッド映画で使われており、今後も増え続けるでしょう。グレインが減れば、圧縮効率も上がります」。

 「われわれは、対角50フィートの大型スクリーンで4K2Kプロジェクタで画質評価を行っていますが、かなり低いビットレートでも十分に高い画質が実現できています。家庭では設置する壁のサイズなどもあり、それよりもずっと小さなスクリーンで見ることになります。ですから、30Gバイトという数字は映画スタジオにとって十分なのです」。

 「デジタルシネマで光ディスクを用いるとするなら、30Gバイトではまったく足りませんが、消費者がデジタルシネマクラスの画質を必要とすることはないでしょう。デジタルシネマ規格は、4000×2000ピクセル、4:4:4の12ビットピクセルフォーマット(消費者向けは4:2:0の8ビット)といったスペックで、ビットレートは250Mbpsにも達しますが、これが家庭向けとして必要になることはないと思います」。

photo 4K2Kの解像度イメージ。「デジタルシネマイニシアティブ」(DCI)の4Kスペックとして規格化されている

――今後、BDが問題を解決した場合でもユニバーサルはHD DVDのみにコンテンツを提供するのでしょうか?

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