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Universalに聞く――HD DVDを選んだ理由とは?連載:次世代DVDへの飛躍(4/5 ページ)

» 2005年02月15日 12時24分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「われわれは、消費者が二つのフォーマットを同時に楽しむ機材を揃えるとは考えていませんし、そうすべきではないと思っています。二つのフォーマットに同時にコンテンツを提供すれば、市場は混乱してしまいます。ですから、同時に二つの規格でパッケージソフトを発売することは絶対にありません」。

――HD DVDとの独占的な契約はないと話していましたが、つまりBD向けには今後、状況が変化してもコンテンツは提供しないということでしょうか?

 「その質問に私は答えることができません。将来のことは誰にもわかりません。現時点ではHD DVDを選択したということです。しかし、同時にHD DVDのライセンス契約はエクスクルーシブなものではありませんから、BD向けコンテンツを発売するという選択肢をわれわれは持っているということです。いつの日か、どこかのタイミングでフォーマット統一が行われれば、われわれはそれに従い、統一フォーマットでコンテンツを提供することになるでしょう」。

新フォーマットは既存DVD市場の上に成り立つ

――ソニーは、PSP向けに作ったUMDという光ディスクを、セキュアなSD映像の供給用媒体として標準化したいと考えているようです。一部のUMDに対して協力的な映画スタジオは、中国やアジアなどDVDの複製がビジネスに大きな影響を与えそうな市場に向けてセキュアメディアとしてUMDを使いたいと考えているようです。ユニバーサルはUMDに関してどのように考えていますか?

 「画質が向上しないのに物理的なディスクを変更するのは問題が大きすぎるでしょう。確かにコピー問題はありますが、われわれはSD映像用のフォーマットとしてDVD事業をずっと継続して進めていきます。今でもVHSソフトを発売していますし、簡単にコピーできるからといって変えられるものではありません。DVDの2枚と1台が同じぐらいにDVDプレーヤーは安くなっています。異なるメディアへの移行は消費者が司るものですから、新メディアを作る場合は既存DVDの置き換えではなく、DVDの上にプラスアルファで市場を構築しなければなりません」。

――新世代の映像コーデックが二つ、次世代光ディスクに盛り込まれました。H.264とVC-1をどのように評価していますか?

 「VC-1とH.264は技術的にとても近く、簡単にいえばほとんど差がありません。両方ともやや特徴が異なりますが、画質はとても良いと思います。現時点で、われわれがVC-1とH.264のいずれを選択するかは決まっていません。しかし、一度製作した映像を将来的にネット配信する、といったところまで考慮するならば、PC再生環境との互換性を考えてVC-1を選択する方が良いかもしれませんが、それも決定的な差ではありません」。

――一部の映画スタジオは、H.264 High-profileをもってしてもMPEG2の方が高画質だと話していますが、それ以上にMPEG2で製作する方がコスト安ではありませんか?

 「放送用コンテンツとの互換性があり、圧縮するためのノウハウやハードウェアも豊富という点では、確かにMPEG2にも利点はあります。しかし、それ以外、たとえば画質に関してのアドバンテージは既にないと思います。われわれが映画コンテンツを光ディスクで提供する時にMPEG2を使うことはないでしょう」。

――既にいくつかのタイトルをHD DVD向けに発表しましたが、これらのパッケージに使う元の映像は、既存のHDマスターを使うのでしょうか? それともテレシネ変換をやり直すのでしょうか?

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