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BD陣営に初めて強くコミットした“ハリウッドメジャー”――ディズニーの真意連載:次世代DVDへの飛躍(2/4 ページ)

» 2005年02月22日 23時20分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「それだけではありません。BDの規格には、高いインタラクティビティがあります。同じインタラクティビティの向上でも、HD DVDは現在のDVDの延長線上にあります。それに対して、BDのインタラクティブ機能は、プログラミングの自由度が非常に高い。これだけ普及したDVDというメディアの上位に位置するメディアを作ろうというのですから、コンテンツが高解像度になることはもちろん、もっと豊かなユーザー体験を与えられる、自由度の高い規格でなければなりません。われわれにとって、両者のインタラクティブ機能の違いはとても大きなものでした。

 また、BDは多くの家電ベンダーが参加し、巨大な企業がその背景にある技術を支えています。その中にはヒューレット・パッカードやデルという、世界でも最大クラスのITカンパニーまでいます。このことは、次世代への移行シナリオを作る上で、非常に大きな助けになるでしょう」。

――しかしながら、ROM複製コストではBDの方が高くなるといわれています。パッケージビジネスを考えれば、ROMコストが安い方が利益を出しやすいのでは?

 「もちろん、ディズニーもROM複製コストは重視しています。安くできるなら、それに越したことはないでしょう。しかし、複製コストが高いといっても、市場立ち上げ期の少量生産なら、複製よりも原盤製作コストの方が大きい。

 また、普及が進んで大量生産になれば、自然とコストは落ちるものです。初期の複製コストを議論することは無意味だと思います。また、0.1ミリカバー層という先進的な物理構造がもたらす機能や容量、将来性に比べれば、複製コストの違いなどごく僅かなものでしかない。われわれにとって、より容量が大きく、将来性のあるBDを選んだことはごく自然な流れですよ」。

――確かにBD-ROMも1層メディアならば、さほど気にしなくても良いレベルには達しているかもしれません。しかし2層に関しては、まだコストを論じられるほど熟成していないという映画スタジオもあります。この点、ディズニーはどのように考えていますか?

 「私は2層ディスクがきちんと複製できている場面を見ています。十分に高い性能を持った2層ディスク向けの複製ラインです。これはCinram(プレスメーカー)の工場内に試作されています(ソニーが作ったもの)。確かにDVDと比較すれば、まだサイクルタイムや歩留まりでは見劣りがしますが、生産数が増えれば徐々に改善されていくものです。

 振り返れば、DVDの時にも製造の歩留まりやサイクルタイムは良くありませんでしたが、その後、改善されました。BDでも全く同じことだと考えています」。

ディズニーのビジネスは映像を売ることだけではない

――ここに来る前に、ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)のジェリー・ピアース氏に話を伺いましたが、彼は映像をパッケージで販売することに関して、30Gバイトでも全く不満はないと話していました。ディズニーはこの意見をどのように考えますか?

 「映画の販売だけに特化して話すならば、30Gバイトが十分という意見は正しいと思います。しかし、いくつかの理由から、われわれは30Gバイトの容量に満足していません。

 DVDビジネスにおいて、ディズニーはさまざまな付加機能、付加コンテンツを加えたパッケージを、自社のオーサリングで制作しています。最初は1層の4.7Gバイトに合わせてシンプルなコンテンツを作っていましたが、新しいアイディアを詰め込んでいくと、あっという間に2層でも容量が足りなくなりました。その間、わずかに18カ月です」。

――将来も含めて考えると、最初から容量に余裕がない状態は避けたいということでしょうが、その余裕はどのように使うつもりなのでしょうか?

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