「よくいわれているように、2006年もしくは2007年には金額ベースでの成長が止まり、売り上げが停滞するでしょう。ですから、2007年末までには次の市場を作っておきたいと考えています。そのときには、テレビのHD化もより一層進んでいるハズです。
テレビを見るとハイビジョンで放送されているのに、お金を払って購入するコンテンツがSD映像では商品価値を出すことが難しくなってきます。大画面のHDTVを購入し、ハイビジョン放送を見るとキレイなのに、SD映像しか入らないDVDではその美しさを体験できないどころか、相対的に画質が低く感じられ、愕然とするかもしれません。こうした人々は、HD映像を収めたパッケージを購入するようになると思います」。
「とはいえ、DVD市場がなくなることは現時点では考えられません。一世を風靡したVHS市場ですが、現在は収束へと向かっています。2010年あるいはその少し先ぐらいになれば、VHSソフトはなくなるでしょうが、DVDはずっと売れ続けると思います。
――次世代光ディスクの市場立ち上げに手間取っていると、インターネットの映像配信が先に実用的なものになってしまう可能性は考えられませんか?
「すでに数社が映画配信をオンラインで行う事業を手がけていますが、まだ最適なビジネスモデルを構築するには至っていないと思います。また、たとえ技術的にも、インフラ面でもネットワーク配信が実用的なものになったとしても、コンシューマーは、実際に手にとって触り、見ることが可能な商品しか信じない人が多い。私としては、ネットワーク配信がパッケージ販売を超える可能性は考えにくいですね。少なくとも、半分以上がネットワーク配信になることはあり得ないと思っています」。
――どこまで市場が大きくなるかはともかく、ネットワーク配信であればコンテンツの使用期限やほかのネットワークサービスとの連携など、より柔軟な使い勝手や著作権管理が行えるのではないでしょうか?
「確かに、ネットワーク配信には、われわれにとっても、やりやすい面はあります。しかし、テクニカルな要素が絡む機能などは、なかなかユーザーに理解してもらえないものです。また、パッケージを買って、手元に“存在する”ことが重要なんですよ。われわれのような製品であれば、親が子どもに買い与えることもあるでしょう。将来、世の中の仕組みがインターネット中心になり、その後に生まれた子どもたちが成長して社会を構成するようになれば、あるいは“モノ”に対する執着もなくなるのかもしれませんが、それはずっと先のことでしょう」。
Universalに聞く――HD DVDを選んだ理由とは
連載第4回目からは、ハリウッド映画スタジオのインタビューを順次紹介していきたい。一人目は、HD DVDのサポートを昨年早々に表明して注目されたUniversal Picturesのテクノロジ担当上席副社長、ジェリー・ピアース氏。同氏は、Universalの中ではBD派として知られた人物だった。
次世代光ディスクは“10年”の視野で取り組む――松下電器のスタンス
連載第3回目は、松下電器産業のBlu-ray Discに対するアプローチを取りあげる。“松下のとっての次世代光ディスク”や最近の取り組み、基本的な方針・思想について、現パナソニック ハリウッド研究所(PHL)所長の末次圭介氏の話を交えつつ、まとめてみた。
「BDに負ける要素は見あたらない」――東芝・藤井常務に聞く
応用範囲の広さが強調されるBlu-ray Disc(BD)に対し、“映画会社のためのコンテンツ販売メディア”という印象が強いHD DVD。多目的展開という点について東芝はどのように考えているのか。前回に続き、東芝の執行役上席常務でデジタルメディアネットワーク社長の藤井美英氏に話を聞いた。
HD DVDの事業ビジョンと不確定要素――東芝・藤井常務に聞く
昨年の一連の次世代光ディスク連載に続き、今年も「2005 International CES」やハリウッド取材で得た情報を順次紹介していこう。1回目は、CESでHD DVDの事業計画を発表した東芝の執行役上席常務でデジタルメディアネットワーク社長の藤井美英氏に、HD DVDの事業ビジョンを話してもらった。
「HD DVD/BD両互換は難しい」〜東芝、山田氏
強気のスケジュールをブチ上げたHD DVD陣営は、それが可能になる理由として0.6ミリカバー層によるディスクメディアの作りやすさを挙げた。前回に引き続き、東芝デジタルメディアネットワーク社の首席技監、山田尚志氏に話を聞いた。
「もうBDのことは気にしていない」〜東芝、山田氏
2005年末に発売予定の全89タイトルを公表したHD DVDプロモーショングループだが、一方で年内の発売にはさまざまな疑問も投げかけられている。本当に年末のHD DVD立ち上げは可能なのか? 東芝デジタルメディアネットワーク社首席技監、山田尚志氏に話を聞いた。
HD DVDの先制パンチ〜各映画スタジオの発売予定タイトルを公開
センセーショナルな言い方をすれば、HD DVDを支持するワーナー(Warner Bros. Studios)が、BD陣営に先制パンチを見舞ったといったところか。HD DVDプロモーショングループは、CESの発表会でHD DVD向けに発売するコンテンツのリストを公開した。
20世紀フォックス参加の真相、ソニーのBD戦略――ソニー・西谷常務に聞く
先日発表された20世紀フォックスのBDA参加の経緯。2号機のリリース時期を含めたソニーのBD戦略。ソニーでBDを含めた映像機器部門のトップを務める西谷清氏に、Blu-ray Disc陣営の最新動向を聞いた。
久夛良木氏が語る「PS3にブルーレイを選んだ理由」
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、次世代プレイステーション「PS3(仮称)」のメディアにBlu-ray Disc(BD)を採用すると発表。「PS Business Briefing」の中で同社社長兼CEOの久夛良木健氏が、BD採用経緯や今後の方向性を語った。
HD DVDがROMメディア普及に自信を持つ理由
HD DVD陣営では、Blu-ray陣営としのぎを削る次世代DVD規格について、「録画フォーマットを今から統一するのは難しいかもしれない。しかしROM規格はHD DVD-ROMでの統一が可能」と自信を見せている。その戦略上の切り札になるのが、DVD-ROMとの互換製造ラインの仕様公開だ。
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