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スピーカー選びとセッティングの基礎劇場がある暮らし――Theater Style(2/4 ページ)

» 2005年04月08日 23時59分 公開
[本田雅一,ITmedia]

スピーカーの選び方(超基礎編)

 DVDやSACDなどのマルチチャンネル音源を、制作者が意図するとおりに正確に再現するには……とピュアな方向に行くのも決して間違いではないが、実際に5.1チャンネル分のスピーカーを揃えるとなると、予算的にも厳しい上、実際の部屋への配置で色々と難題が出てきてしまう。

 たとえば5つのスピーカーはすべて同じメーカーの同じスピーカーで揃えて配置というのは理想だが、実践しようとするとサラウンドスピーカーを物理的に置けなかったり、視聴者のすぐ脇に置かざるを得ないといった問題が出てくる。

 しかし、本格的なシアタールームを作るわけではないなら、フロント3つと後ろ2つは分けて考えてもいい。ということで、ここでは前と後ろのスピーカー選びを別々に考えることにしたい。

・フロント左右が音の要

 ユーザー前方には左右のフロント(メイン)スピーカーと中央にセンタースピーカーを配置する。ただし、以前サラウンドの基礎知識でも書いたように、センタースピーカーは必須というわけではない。

 もし自分一人でしか楽しまないホームシアターを作る、というのであれば、AVアンプ側でセンタースピーカーをナシに設定すれば、左右フロントスピーカーで中央に仮想音源を作ってくれる。細かな事を言えば、セリフの質感や分離が悪くなるが、5.1チャンネルの音楽ソースでは、むしろセンターがない方が良く聞こえる場合もある。

 家庭でシアター環境を作る場合、センタースピーカーはスクリーンを避けるため横長のセンター専用スピーカーを使うことになるが、フロントスピーカーの質が良い場合、センタースピーカーにも同等の製品を選びづらい。

 その上、スクリーンやプラズマディスプレイなどを避けるには、画面の下もしくは上にずらして配置しなければならない。スピーカーはそれ自身の質も重要だが、何より設置方法が音質に大きく影響する。このためセリフの再生が主目的となる映画のセンターチャンネルではセンタースピーカーの方が良い場合が多いが、音楽となると高品質のフロントスピーカーで代用した方が良い結果になることが少なくない。

 考え方は二つある。

 音楽再生の質重視ならば、センター抜きでフロントスピーカーに予算を多く割り当てる。CDなど2チャンネルの音楽ソースが圧倒的に多い事も考慮すれば、フロントスピーカーを重視すべき。DVD-AudioやSACDのマルチチャンネルソフトでも、実際にはセンター抜きの4.1チャンネルや4.0チャンネルで収録されているものが多い。

 音楽よりも映画。明瞭なセリフのキレが欲しいなら、センタースピーカーにフロントスピーカーと同じメーカー、同じシリーズの製品を使う。プロジェクターユーザーならば、穴の空いたサウンドスクリーンを用い、スクリーン後ろから音を透過させることもできるが、その場合は設置条件がかなり厳しくなるので、専用シアタールーム以外ではあまりお薦めしない。

 さて、このように意外にスピーカー選びではセンタースピーカーの扱いが難しいが、音の骨格を決めるのは、やはりフロントスピーカー2本だ。センタースピーカーはセリフ、サラウンドは音場の雰囲気を作り環境音を主に再生する役目で、それ以外の画面周辺の音を音場に付けているのはフロントスピーカーなのだ。

 もちろんフロントスピーカーはCDなど音楽ソフトの音質も決定づける。前述したように、スピーカーは一度購入したら、そうそうカンタンに取っ替えひっかえをするものではないだけに、ここで好みのスピーカーを見つけられるかどうかが鍵になる。

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