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テレビメーカーが“こだわった”リアプロTV――ビクター「Big Screen EXE」劇場がある暮らし――Theater Style(2/3 ページ)

» 2005年05月06日 20時46分 公開
[西坂真人,ITmedia]

――Big Screen EXEは「積極的な店頭販売を打ち出したリアプロTV」としても注目されていますよね。

青野氏: 昨年エプソンが直販スタイルで国内市場へリアプロTVを投入しましたが、実際に商品を見ることができる場所が非常に少なかった。われわれの製品は量販店にも並ぶので、プラズマテレビとも比較できるようになります。従来のリアプロTVは照明の明るい店頭で見映えが悪かったですが、D-ILAを採用したBig Screen EXEはそのような明るい環境でもプラズマテレビより明るくキレイに見えると思います。すでに販売店からも期待の声が多く寄せられています。

――D-ILAという自社製デバイスにこだわる理由は?

古田島氏: 当社はプラズマ/液晶パネルを外部調達しています。その時点で最良のパーツを選べるというメリットもありますが、供給量不足からくるコスト問題も発生するほか、製品化までの開発スピードという点でも不利でした。われわれが思っていた以上に、近年の薄型大画面テレビの価格下落は激しくなってます。デバイスからの一貫生産は、それ自体が商品力につながります。今回はデバイスから生産できるメリットを最大限に生かし、低コスト化や商品開発期間の短縮などを実施しました。

――デジタルチューナーのフル装備やEPG/GENESSA搭載など、テレビとしての基本性能も高いですね。

青野氏: 大画面になればなるほど、できるだけいいソースで見てもらいたい。そうなるとアナログ地上波よりも、ハイビジョン映像が見られるBS/110度CS/地上デジタル放送用チューナーが必須となります。国内のデジタル放送の質は非常に高く、むしろ北米よりもソースが充実しているのです。その意味では国内向けにこそデジタルチューナー内蔵型にして、専用の画作りを追求するべきと考えました。単に北米市場向けの製品を持ってきただけでは、画質にうるさい日本のユーザーには満足してもらえないですから。

古田島氏: 大画面なので、アラが目立ってしまうんです。例えば40インチの液晶テレビでは目立たなかったアラが、50〜60インチにすると見えてくるというケースがあります。当社独自の映像エンジン「GENESSA」も、Big Screen EXEに最適化したものを搭載している。

遠藤氏: Big Screen EXEでは、GENESSAの特徴であるインテリジェントガンマとカラークリエーションという機能を中心に、D-ILAの特徴をいかすような画作りをしています。D-ILAはもともと明るいので、明るい部分で黒が沈んでキレイに見えるようにセッティングしています。特にD-ILAは液晶テレビと比べて黄色の再現性がいいので、その特徴を最大限に引き出しています。液晶テレビに搭載したGENESSAとはかなり違う設定になっていますね。

――テレビに関するビクターの“画作りのこだわり”には定評がありますよね。Big Screen EXEでもそのこだわりは生かされているのでしょうか。

青野氏: カレ(遠藤氏)がBig Screen EXEの画作りを担当しているのですが、なるべく他の業務はさせないようにして極力画作りに専念してもらいました。画質も手間をかければかけるほどよりよくなっていくのです。カレのような画作りの専任者が数人いて、プロフェッショナル化することで最高の画質を目指しました。こういった作業は開発効率やコスト面からは不利なのですが、そこが当社のこだわりでもあり、生きる道でもあるのです。例えば、すべて開発は終了していても画質だけがOKされないというケースが当社ではよくあります。

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