――量産が難しいとされていたD-ILAを民生モデルに採用するためには、ILAセンターによる生産体制の構築は欠かせなかったと聞いていますが。
ILA遠藤氏: ハイエンドフロントプロジェクター向けとして今まで千単位レベルの生産だったD-ILAを、テレビという民生向けに使うためには万単位の生産にもっていかなくてはいけませんでした。しかもその移行期間は、とても短かったのです。昨年の北米市場投入時もそうでしたが、今回の日本市場投入も「本当にできるのだろうか」という不安がありました。ですが、我々は1997年から少量ながらもD-ILA生産を行うなど実績を積んで、生産ノウハウを蓄えてきました。開発当初の低い歩留まりをなんとか改善するために、品質面でのハードルを高く置いていたことが、量産化の際にスムーズに移行できた要因です。
我々は半導体メーカーでもなければ液晶メーカーでもない。製造装置も自社で開発し、クリーンルームでデバイスを作るということも一から行ってきたので、今になってみても「本当によく完成できたなあ」という感想です。現在では歩留まりも大幅に向上し、この手のデバイスとしては驚異的な歩留まり率になっています。
――次の目標は、やはりフルハイビジョンでしょうか。
古田島氏: われわれが今、Big Screen EXEで狙っているのはプラズマや液晶ではできない市場。そこで見えてくるのが“フルハイビジョン”というキーワードです。50〜60インチ台でフルハイビジョンができれば、さらに上のステップにいけます。プラズマはその構造上50インチ前後のサイズでフルハイビジョン化は非常に難しいといわれていますし、高精細が得意な液晶も50インチ以上はコスト面や消費電力で不利となります。発表会でも話しが出ていましたが、年内にはBig Screen EXEでフルハイビジョンモデルを投入したいですね。
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