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マクロレンズを使いこなす――キヤノン「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」レビュー:デジ一眼「2本目のレンズ」(4/6 ページ)

» 2005年05月20日 01時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 もう1本の標準ズーム「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」とも比較してみた。このレンズは、手ブレ補正機構を内蔵した人気レンズの1本で、最大の撮影倍率は0.2倍となる。同一条件で撮り比べた画像を見ると、予想通りマクロレンズ「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」のほうが描写力で大きく上回った。

 意外だったのは、撮影距離による画角(写る範囲)の違いだ。「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」のズームのテレ端と60ミリマクロを比較した場合、1メートルより先の一般的な撮影の場合は、当然ながら、より望遠である「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」のほうが写る範囲が狭い。ところが撮影距離が短くなるにしたがって画角が広くなり、約60センチ以下になるあたりからは、「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」のテレ端よりも、「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」のほうが写る範囲が狭いという逆転が生じる。

 レンズのスペックにある画角は、無限遠を基準にして定義されているので、近接撮影時にはスペック通りの画角にならないことは、別段珍しいことではない。だが、こうして実際に検証し、その違いが明らかになると、損したような得したような不思議な気分だ。

photo IS付き標準ズーム「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」のテレ端で撮影。葉っぱの輪郭などには、黄色くフチ取ったような色ズレが見られる。絞りF8、シャッター速度1/15秒
photo 上の画像と、カメラの位置をまったく変えずに、マクロレンズ「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」で撮影。焦点距離が短いにもかかわらず、写る範囲はほぼ同じ。これよりもさらに近寄ると、このレンズのほうが写る範囲が狭くなる。画質に関しては、ズームレンズよりもシャープネスが高く、収差が少ないことが明らか。絞りF8、シャッター速度1/15秒
photo 使用した3本のEF-Sレンズ。左から「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」、「EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM」、「EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM」
photo 「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」を使い、絞りの違いによって、被写界深度や描写性にどれほどの差が生じるかを検証してみた。開放値のF2.8では、被写界深度が非常に浅く、中央の人形のみにピントが合っている
photo 中間絞りのF8で撮影。被写界深度はやや深くなり、ピントが合った部分はくっきりと表現できている。シャープネスや解像感という点では、このこくらいの中間絞りが最も好ましい描写になる
photo 最小絞りのF32で撮影。ここまで絞ると、近接撮影でもほぼ全面にピントが合う。ただし、ピントを合わせた中央部分の描写を見比べると、F8の画像よりも解像感が劣る。絞りすぎると画質が落ちるのは、一般的な傾向だ

風景やポートレート撮影にも生かせる

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