今回の試作機は、クリスタルクリアファインだけでなく、絞りをリアルタイムに可変するダイナミックアイリス機構などコントラストを向上させるさまざまな技術が盛り込まれており、コントラスト比は実測で10000対1以上まで高まっているという。従来モデルが500対1前後なので、その差は数値上でも歴然だ。
同社では、6月8日から米国ラスベガスで開催されるInfocomm2005の展示会場でも、クリスタルクリアファイン技術を用いたリアプロTVによるデモンストレーションを実施する予定。
クリスタルクリアファインは、同社によると2006年度以降順次HTPS製品に採用する予定だという。試作機では同社が今年から量産を開始するとみられている次世代技術「D5」シリーズのプロセスをベースにしているものの、“クリスタルクリアファイン”という名称は、Dシリーズとは別のラインでアピールしていくようだ。
「将来的にはすべてのHTPS製品に採用していきたいが、輝度が重視されるデータプロジェクターには、従来のTN方式の方が向いているケースもある。当面はコントラスト向上のメリットが大きいホームシアター向け製品に搭載していく予定。価格は現行製品の延長線上(のプライス)で提供できると考えている」(同社)
なお、無機材料による垂直配向技術は、すでにソニーのLCOSデバイス「SXRD」などで採用されている。クリスタルクリアファインの優位性はどこなのだろうか。
「技術的な方式という点では同じ。だがLCOSは反射型デバイスなので液晶層を2回通過することになり、液晶のセル厚のムラを拾いやすい。1回の通過で済む透過型の液晶(HTPS)は、量産効果が非常に高いという点でアドバンテージがある」(同社)
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