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伝送距離と手軽さが持ち味――ロジテックのBluetoothトランスミッタレビュー(3/3 ページ)

» 2005年05月24日 20時42分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 「LBT-AS100C2/A」の場合、Bluetoothの仕様はちょっと古めのVer.1.1だが、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)をサポートしている。プロファイルは、Bluetooth機器の特性に合わせて通信手順を標準化したもので、A2DPはHi-Fiステレオ伝送を可能にするオーディオ機器用のプロファイルだ。そのほか、GAP(Generic Access Profile)とSDAP(Service Discovery Application Plofile)をサポートしている。

 またバージョンやプロファイルとは別に、Bluetoothは送信出力によって3つのクラスに分けられている(下表を参照)。スペック表によると受信機はClass1に対応しており、3ミリワット出力で通信エリアは約100メートルという。ただし、送信機側がClass2(2.5ミリワット以下)のため、実際に通信できるのは最大半径20メートルだ。それでも一般的なFMトランスミッター(5メートル程度)と比べると差は大きい。

パワークラス 最大出力 電圧
Class1 100ミリワット 20dBm
Class2 2.5ミリワット 4dBm
Class3 1ミリワット 0dBm

 どこまで通信できるか、オーディオアダプタを繋いだiPodを持って家の中を動いてみたところ、木のドアを3つを隔てても音楽は安定して鳴り続けていた。距離は、オーディオ機器から直線で10メートル程度。木造住宅なら1フロアをカバーできるかもしれない。ただ、コンクリートパネルとスチール製のドアで隔てられた場所に立つと、途端に通信が途切れる。先ほどの場所から50センチと離れていないのだが、さすがに壁が厚すぎたようだ。

 音質はというと、直接ケーブル接続した場合に比べると、やはり少し落ちるようだ。試用には128kbpsのAACが入った「iPod Photo」を使用したが、同じ楽曲をヘッドフォンで聴いた場合、あるいはアナログピンジャックで直接アンプ入力した場合と比べてダイナミックレンジが少々狭くなったような印象を受ける。

 もちろん、BGMとして使うなら問題ないレベルだが、FMトランスミッター(電波状態の良いとき)に比べて特別優れているとは言いにくいのが少し残念だ。ただし、通信が安定しているぶん、同じ部屋で聞いている限り、音が途切れたりするストレスとは無縁でいられた。


 オーディオ信号をワイヤレス化するメリットは、まずAV機器のレイアウトが自由になることだ。オーディオ機器の近くにiPodや携帯電話を持っていく必要がなく、プレーヤーとアダプタを手元に置いてリモコン代わりに操作できる。iPodと携帯電話を両方使っている人も、差し替えるだけでカンタンに切り換えられる。

 もちろん、同じ部屋で利用するなら、FMトランスミッターで十分という人もいるだろう。伝送距離は4分の1程度になるが、値段も4分の1程度で済むからだ。LBT-AS100C2/Aは受信機も必要だから“割高”とまではいわないが、やはり単機能で1万9800円という価格は手を出しにくい。価格を下げるか、あるいは伝送距離以外の部分でもBluetoothならではのフューチャーが欲しいところだ。

 たとえば、BluetoothのAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)もサポートして、レシーバー側からポータブルプレーヤーを操作できるようにしてほしい。ポータブルオーディオも充電中はコンセントやクレイドルの場所に固定されてしまうからだ。またレシーバーから簡単な操作ができるようになれば、たとえばiPodは隣室に置いてあっても良いわけで、伝送距離と併せて利用シーンを広げるのではないだろうか?

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