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BD-Rのコストは本当に高い?インタビュー(2/3 ページ)

» 2005年06月28日 23時16分 公開
[本田雅一,ITmedia]

金属皮膜のライトワンスでも安価な理由

 小川氏は「BDドライブは書き換え型から導入されたため、反射率は1層の場合で12〜24%、2層の場合は4〜8%の反射率でも読めるように作られている。また変調幅も40%以上あれば読める。この前提でいくならば、相変化型でも実は安価にライトワンスメディアを製造することが可能だ」と話す。

 しかし一般には金属皮膜の記録型ディスクは高価という印象がある。現在、安価に出回っている記録型ディスクは、すべからく色素で、金属皮膜を用いたRWなどはそれよりも高価だ。

 「それは単純に色素を使うDVD-RがRWよりも多く消費されているからだ。BD-REなどの書き換え型の相変化ディスクの場合、変調幅を稼ぐために相変化膜を多層化し干渉効果を出しているため確かにコスト高になる。しかし相変化型のBD-Rは、記録部分の体積変化を含めて変調幅を稼ぐ仕様になっているため、相変化膜の成膜が非常に簡単。簡単な構造をとり、層数を極力減らすことで、低コスト化ができている。このあたりは色素が悪い、相変化がいい、という話ではなく、相変化のライトワンスに関する研究が進み技術的に進歩したため、色素を使う方式に追いついたとも言えるだろう」(小川氏)

 さらに、BDAでは相変化以外の金属皮膜を用いたライトワンスメディアも考えられているという。現在、アロイ系材料および金属酸化膜も検討されており、いずれの方式も25Gバイトでの記録が確認されている。

 「もっとも、どの方式も数を作れば安くなるという記録メディアの法則からすると、メディア価格面での差は出ないと考えている。要はどれでも同じ。いろいろな企業が様々な選択肢を選んで開発を続けているので、その競争の中から安価で良い方式が生まれていけばいい。個人的には、1層は色素が先行するだろうが、2層は(層間スペースの精度を出しやすい)金属膜を用いた方式が主流になるのではないかと考えている」(小川氏)

 ただし2層記録の投入時期に関して、小川氏は「1層の技術が安定した後」と慎重な姿勢を見せる。

 「光ディスクの多層記録は、通常、1層が安定してから立ち上げるものだと考えている。2層ディスクができる、できないの前に1層を安定させるのが先だ。書き換え型のBD-REは製品化で先行したこともあり、すでに松下電器が2層50Gバイトドライブを商品化している。我々も2層記録ドライブは内部で開発済み。同じようにライトワンスも最初は1層からということになる」(小川氏)

 しかし将来的には2層化されるとはいえ、HD DVDが2層ライトワンスメディアを前面に打ち出すならば、一時的な期間とはいえ容量では負けてしまう。

 噂では、多層の場合は25Gバイトの倍数とするが、1層のみの場合に限って30Gバイトまで増やすというBDの規格案もあるようだ。また、BDには(実際には使われていないが)1層27Gバイトの規格も存在する。

 「1層のみ30Gバイトかどうかは、BDAでも提案がまだ何もないため具体的には申し上げられない。しかし、より高密度にしようという研究開発はソニーだけではなく、いろいろな企業で行っている。その中に30Gバイトという候補があることは確かだが、他にも33Gバイトや35Gバイトという技術開発を行っているところもある(小川氏)」

1層30Gバイトは信号処理系の小改良で実現可能か?

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