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海外AVメーカーの“騒音消去”を試す――BOSE&Philipsレビュー:ノイズキャンセリングヘッドフォン特集(2/3 ページ)

» 2005年06月30日 01時01分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 単体で“耳栓”としても利用できるように、音声ケーブルが取り外し可能になっている点も「MDR-NC50」と同様。ただし、「QuietComfort2」の接続構造は少し変わっている。この脱着式ケーブルは、出力機器へ接続する側こそ通常のミニジャックだが、もう片方はヘッドフォン本体内へすっぽりと収まるようなコネクター形状になっている。

photo コネクターはイヤーカップ内へすっぽりと収まるような形状になっている

 また、このコネクター部にはスイッチがついており、出力機器の能率に応じて、HI/LOの切替が可能だ。つまり、一般的なポータブル音楽プレーヤーを接続する場合にはHIポジション、航空機内の音声出力端子など、音量が大きめの端子に接続する場合にはLOポジションを利用すればいい。「QuietComfort2」には音量調整ボリュームがないゆえの措置ともいえるだろうか。

photo 単体でノイズキャンセル用途だけにも使用できるよう、音声ケーブルは取り外し可能。コネクターにはHI/LOの音量切替スイッチがついている

 電源には単四形乾電池を利用。右側イヤーカップの上部にフタがあるので、ここを開けて交換すればいい。アルカリ乾電池を使用して、約35時間の駆動が可能だ。電源スイッチも同じく右側のイヤーカップに配置されている。

 注意しなければいけないのは、電源をオンにしていないと、音が鳴らない点。つまり、電池が切れた状態では、単なるヘッドフォンとしての役目も果たせないのだ。電池の残量が約5時間以下になると、インジケーターが点滅するので、その際には交換用電池を用意しておく。

photo イヤーカップを90度回転させれば、付属のキャリングケースへ収納可能

 ノイズキャンセリング性能は高い。もちろん、まったくの無音になるわけはないが、不快に感じるような性質の音はほぼすべて低減してくれる。音楽を聴いていないときのホワイトノイズもかなり低く、ほぼ聴こえないといっていいほど。しかし、このヘッドフォンの優位性は、とりわけ音質面において際立っている印象だ。

 低音が豊かで、力感が確実に伝わってくるのは、いかにもBOSEらしいが、それだけにはとどまっていない。1つひとつの音の弾みがよく、しかも、じっくり聴かせてくれる印象だ。また、電子音から生楽器まで、さまざまな性質の音を試してみても、嫌な感じのする音はほとんどない。結果として、疲れを感じさせないのだ。

 結局は振り出しに戻ってしまうのだが、この製品の欠点は唯一、価格ということになる。たしかに品質は高いのだが、個人的に4万円出すかと問われると、「ノー」と答えざるをえない。ダイレクト販売限定商品なので、4万1790円よりも安く入手することも不可能だ。家電量販店などで2万円台で売られていれば、食指も動くのだが……。

 もちろん、利用している部品類を考えれば、適正な価格なのだろうし、電車や航空機の移動が多く、その時間を快適に過ごしたい人などにとっては、決して高い買い物ではないのかもしれない。

普及価格のインナーイヤー型 Philips「SBC-HN060」

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