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この夏“買い”の大画面テレビ麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」――バイヤーズガイド編(4/4 ページ)

» 2005年06月30日 22時20分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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――最後はリアプロTVですね。

麻倉氏: リアプロTVでは、セイコーエプソンの“LIVINGSTATION”をお薦めしたいです。画質云々というよりも、エプソンがえらいのは、リアプロTVには逆風が吹いていた日本市場で、しっかりとしたロードマップをもとに不退転の決意で、先駆者として取り組んでいる点です。新しい映像文化をリアプロTVで創っていこうとしているのです。

photo セイコーエプソンの“LIVINGSTATION”Sシリーズ

 今年登場した新製品“Sシリーズ”は、従来モデルよりも明らかによくなっています。今年のSシリーズが日本市場での真の意味での第1号機といえるでしょう。スクリーンを通すことによるボケ感や視野角の狭さ、コントラストの弱さなどリアプロTV特有の問題はありますが、新製品は前モデルに比べても着実に改善されています。スクリーンを通して見るというテレビ製品を受け入れられるか否かで、今後の普及のポイントとなるでしょう。

 番外ですが、スクリーンがあってもすごいと思ったのが、ソニーの70V型SXRDリアプロTV「QUALIA 006」(最新価格はこちらをクリック)です。むしろ逆にスクリーンを通すことでギラギラ感が抑えられて、自然でなおかつ艶っぽい映像を表現できるようになってます。このようにリアプロTVは発展途上なのでまだまだ可能性が残されています。たとえば、同じ光学エンジンで自由に画面サイズを変更できるというのも投影型のリアプロTVの特徴。これを生かして、自分の家にピッタリの大画面サイズを自由にオーダーできるような“BTOでのテレビ”という可能性もリアプロTVにはあります。その意味でも、PCでBTOを展開しているエプソンには大いに期待したいですね。

photo ソニーの70V型SXRDリアプロTV「QUALIA 006」(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

 1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNのCD12、JBLのK2PROJEST/S9500など、世界最高の銘機を愛用している。音楽理論も専門分野。
 現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。

著作
「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)――ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く
「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)――プレイステーションの開発物語
「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)――ソニーのネットワーク戦略
「DVD――12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)――DVDのメディア的、技術的分析
「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)――記録型DVDの未来を述べた
「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)――互換性重視の記録型DVDの展望
「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)――プラズマ・テレビの開発物語
「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)――新しいディスプレイデバイスの研究
「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)――シャープの鋭い商品開発のドキュメント

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