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MPEG-4動画や高感度撮影が魅力のスリム機――“EXILIM CARD”「EX-S500」レビュー(3/4 ページ)

» 2005年07月20日 11時50分 公開
[永山昌克,ITmedia]

最大ISO1600までアップする高感度モード

 数多い静止画機能の中でも、EXILIMシリーズ初の試みは、最大でISO1600の高感度撮影に対応したことだ。手ブレ補正機能とはいえないが、感度が高くなるほどシャッター速度が速くなり、手ブレや被写体ブレを抑えるメリットがある。

 ただし、結論を先にいうと、感度がISO800やISO1600に上がった場合の画質は、あまりきれいではない。特にISO1600の画質は、画面全体にざらざらとしたノイズが目立ち、はっきりいって低画質だ。

 そのためか、メニュー画面のISO感度設定から選択できるのは、オートのほか、ISO50/100/200/400の4段階のみで、ISO800やISO1600の手動選択はできない。メニューの「ブレ軽減」から「オート」を選び、感度設定も「オート」にした場合に、暗いシーンでは自動的に最大ISO800まで上がるようになっている。

 また、ベストショットボタンを押して「高感度」または「ブレ軽減」を選択した場合には、暗さに応じて最大にISO1600までアップする。つまり、ノイズが生じても構わないので、手ブレや被写体ブレを抑えたいと思う場合のみ、これらのモードを利用すればいい。ISO800やISO1600の画質は汚くて許せないというなら、「ブレ軽減」をオートではなく「切」にしておけば、オートISOはISO50〜100の範囲となる。

photo いわゆるシーンモードに相当する「ベストショット」機能の設定メニュー。「人物」や「風景」など33シーンを選択でき、選んだだシーンに応じて各種設定が最適化される。このうち「ブレ軽減」と「高感度」では、オートISOが最大1600まで自動的にアップする
photo ベストショット以外の通常の撮影モードでは、撮影メニューの「ブレ軽減」から「オート」を選び、ISO感度も「オート」にしておくと、最大ISO800まで自動アップする
photo 「ブレ軽減」の「オート」を選んで撮影。感度はISO400となり、シャッター速度は1/40秒となった。暗部を中心にノイズが見られるが、手ブレするよりは、はるかにいい
photo オートISOがISO800までアップした。サービス判の印刷ならあまり気にはならないが、キャビネ判以上に印刷すると、画面全体のざらつきが目立つ
photo 同じくISO800で撮影。高画質とはいえないが、車窓から夜の街を気軽にスナップし、ブレずに看板などがちゃんと識別できるように撮る、という目的は達成できた
photo ベストショット機能の「高感度」を選んだの、感度はISO1600までアップした。選択肢のひとつとして、ないよりはあったほうがいいともいえるが、かなりノイジーになる。もう少し改善を望みたいところ

 一方、ISO50やISO100などの低感度側の画質はついては、手軽なスナップデジカメの画質として実用的なレベルといえる。ただし、1/2.5型の500万画素CCDを搭載した他のデジカメによくよく比較すると、低感度の場合でもS/N比は高くなく、ややノイジーな傾向がある。また明るい部分が白とびしやすい点も少し気になった。

photo 光量が十分にあるシーンでは、感度はISO50になり、画面の隅々までシャープに写る。ただし、同クラスのCCD搭載モデルの中では、S/N比は高いとはいえない
photo ISO100で撮影。明るい部分は白とびしやすいが、暗部の階調はそれなりにきれいに再現されている。手軽なスナップ撮影の範囲では、問題のない画質だ

 デザインと動画モードは他にはない大きな魅力だが、静止画の画質はもう少しがんばってほしいところだ。このへんのバランスをどう判断するかが、購入の見極めになるだろう。とはいえ、デザインの魅力だけで衝動買いをしても、それはそれでカメラの正しい買い方だと思う。カメラは持ち運び、手に取って使う道具なので、デザインが気に入るかどうかで撮る意欲が左右されるからだ。

EXILIM CARD EX-S500の作例

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