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“いじりがい”のあるエントリー機――「PowerShot A520」レビュー(3/4 ページ)

» 2005年07月22日 23時59分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

予算はないけど“いじりがい”があるデジカメが欲しい人に

 バッテリは単三形電池を2本使用する。アルカリ乾電池でも動作するがCIPA規格で約80枚しか撮れない。別途ニッケル水素充電池と充電器のセットを購入してそれで使うべきだろう。ニッケル水素充電池の場合は、CIPA規格で約300枚。実用レベルとしては十分だ。記録メディアはSDメモリーカードを使用する。

photo メディアはSDカード。バッテリは単三型2本で、充電式のニッケル水素電池を別途用意するのがお薦め

 PowerShot A520はこのように、デザインや小ささを重視したIXY DIGITALシリーズに比べると質感で劣るし、ハイエンド系のPowerShot S/Gシリーズに比べると性能面でやや劣る。

 もっとも、多少ずんぐりした分、グリップがしっかりしていて持ちやすいし、カメラとしての構えやすさはなかなかいい。

 静止画に限れば撮影機能も豊富で、マニュアル露出やマニュアルフォーカスまで対応してくれるなど、IXY DIGITALに比べても多機能だ。

 普通、エントリー向けのデジカメというと「機能も絞ってシンプルに」と考えがちだが、それとは正反対の充実振りなのだ。

 エントリー向けの価格・デザインでありながら、本格的な機能を満載した「初心者向けというより入門者によい」デジカメなのである。それがこのシリーズのユニークな点だ。

 低価格で安心して使えるズーム機が欲しいファミリー層・エントリー層にもお薦めできるし(フルオートで使ってもほぼ満足な結果が得られるだろう)、カメラは見せびらかすものではないしポケットに入らなくてもいいから、その分コストパフォーマンスが高くてマニュアル系機能が充実したデジカメが欲しいという人にもいい。

 もっと極端な例を挙げれば、予算がなくて電池やメディア込みで4万円で抑えたいけれども、「押して撮る」だけじゃなくて露出やホワイトバランスを自分であれこれ設定して、凝った撮影もしてみたくて、それでいて画質もそこそこ求めたい……。そういう贅沢な人がいたら、このPowerShot A520を即座に薦めるのである。


作例

photo 京都の東寺にて、赤い傘と五重塔をワイド端で撮影。くっきりカラーモードのおかげでコントラストも高く、赤や緑、青空がすごくきれいに出ている。こういう観光写真には最適
photo 同じく東寺にて、テレ端で五重塔を撮影。4倍ズームなので3倍ズーム機よりワンステップ寄ることができる
photo 祇園祭の山鉾をくっきりカラーで撮影。日陰のハイコントラストな難しい構図だがホワイトバランスも露出もほどよくて感心。暗部のノイズもうまくおさえられている
photo 同じ山鉾を色効果なしで撮影。コントラストがやや弱まり、彩度も少し落ちて全体にナチュラルな色調になる。こちらの方が自然だが、くっきりカラーの派手さも捨てがたいところ

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