「iVDR」(Information Versatile Disk for Removable usage)は、家電やパソコンを含む幅広い分野で利用することを目指したリムーバブルHDDの規格だ。当初10社でスタートした「iVDR Hard Disk Drive Consortium」も現在では60社以上が参加し、またコンテンツ保護機能付きの「iVDR Secure」が発表されるなど準備は着実に進んでいる。しかし、今だ市場にある製品はアイ・オー・データ機器のUSBリーダーだけだ。
では、HDDを取り替え可能なAV機器はいつ登場するのだろうか? 先日開催された日立グループのプライベートショウ「uVALUEコンベンション 2005」で今後の見通しを聞いた。
まず、展示会場で見つけた新しいトピックとしては、日立マクセルブランドのiVDRメディアが挙げられる。「日立はコンソーシアム設立時からの参加企業であり、またグループ会社の日立グローバルストレージテクノロジーズがiVDRに使用する小型HDDを供給する立場だ。日立としては、まずPC用のリムーバブルHDDとして年内に製品化し、あわせて日立マクセルがiVDRメディアを投入するだろう」(同社IDソリューション事業部ユビキタスHDDビジネスセンタの土屋健二部長代理)。
また土屋氏は次のステップとしてモバイル機器を挙げた。「2006年にはポータブルビューアなどのポータブル機器を投入したい。その普及に合わせ、端末やサービスの拡充も検討していく」。会場には、iVDR miniのスロットが付いた「コンテンツサービスステーション」も展示。カーナビ用の最新地図、音楽、ムービーなどを購入できるサービスを紹介している。
では、気になるレコーダーへの採用時期はいつ頃になると見ているのか。同氏によると、4月末に発表したiVDRのコンテンツ保護技術「SAFIA」(Security Architecture For Intelligent Attachment device:サファイア)に対する評価が今後のスケジュールを決めるという(関連記事)。
SAFIAは、「iVDR Secure」で検討を進めてきた著作権保護機能を仕様としてまとめたもの。コンテンツをAES-128暗号化し、デバイスとiVDRの間はPKIをベースとした公認証処理を行う。これにより、コンテンツ本体とライセンスを別個に販売する、いわゆる“超流通”に対応するほか、動画の再生期間などコンテンツごとに条件付けをして配信することも可能になる。
アプリケーションは、静止画、オーディオ、テレビ録画の3つを定義。もちろんテレビ録画はデジタル放送のコピーワンス番組録画を想定したもので、録画フォーマットにはMPEG-2 TSを使用する。さらに「フォルダやプレイリストといったDVDレコーダーに求められる機能を実現する仕様も含まれる」。
「現在は、ハリウッドなどのコンテンツホルダーがSAFIAを評価している段階だ。また国内では、年内か、あるいは年度内を目標に、ARIB(電波産業会)の運用規格にiVDRを盛り込んでもらう方針」(同氏)。
実現すれば、映画コンテンツの流通とデジタル放送録画の準備が整うことになる。2002年のコンソーシアム設立から既に3年が経過したiVDRだが、ようやくAV機器に搭載するための道筋が見えてきたようだ。
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