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人工津波に海で働くロボットたち――港湾空港技術研究所っぽいかもしれない(1/3 ページ)

» 2005年08月02日 18時00分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 7月30日に、独立行政法人「港湾空港技術研究所」の一般公開があったのでそれにいってきた。先週の宇宙科学研究本部(JAXA)から“夏休みのサイエンス体験”って感じになってるけど、その第2回。

 港湾空港技術研究所は、神奈川県久里浜市、三浦半島の海辺にある。駅からのバスも「ペリー通り」とか「開国橋」とかなんだかいい名前のところを抜けていくのだ。それにしてもこの日は暑かった。朝のうち雨がぱらついたりしたので油断していたら見事に晴れ渡った。海辺の晴れは暑い。港湾空港技術研究所の人たちもよくわかっていて、無料の麦茶を振る舞ってくれる。ありがたかったです。

 港湾空港技術研究所というと、最近ニュースで聞いた覚えがあるという人がいるかもしれない。ここは最近、人工的に津波を発生させる装置を設置したのだ。やっぱり一番見たいのはこれだ。でも、こいつはやっぱり大人気で整理券を配布するような状況になっている。11時過ぎに受付についたのだけど、もらえたのは15時10分の回の券。それまで、あちこちを見て回ることにする。

油回収実海域再現水槽

 船舶の事故などにより、海上に重油が流出するという事故はたびたび発生している。なかでも1997年1月に発生したロシア船籍タンカーのナホトカ号による事故はまだ記憶に新しい*1。そのとき、海上は船による回収が行われたが、岸に近づいてしまったものは人力によって除去するしかなかったのだ。この体験をもとに作られたのが、この油回収機だ。水深20センチ程度の、とても船では入れないところでも油回収が行える。

photo 動画はこちら(MPEG-1、2.2Mバイト)

海の中のロボットたち

 海中で動作するロボットもいる。とはいうものの、今回の公開では、陸上で動くところをみるものである(海の中で動かれても見学できないけどね)。したがって、ロボットも防水されていない陸上仕様のものだ。

photo 動画はこちら(MPEG-1、2.2Mバイト)

 ひとつめはこれ。6脚のヒトデというかクモというか点対称な形のロボットだ。歩く速度によって、歩容(あしはこび)を自動的に変えている。

 このロボットは、海岸の地形図を作るために使われようとしている。いま、地上の地形図は人間が三角測量で計測している。海上は船だ。では、海岸から浅い海の部分はどうしているかというと、これも人力なのだ。

photo 展示資料より

 これではちょっと冷たいので、代わりにロボットにやらせようというのだ。このロボットの上にポールを立ててミラーを取り付け、地上からそこにレーザーをあて反射を見ることで位置と高さがわかる(GPSも併用している)。また、その位置における“足の伸ばし方”を知ることで、地面(や海底)の高さを得るというわけ。足先には圧力センサーが付いていて、これによって足の下に何かないかを検知し、なければのばしていくというスタイルをとるのだ*2


*1 ペンギンな人としては、2000年6月の「トレジャー号」事件を忘れる訳にはいかない。沈没した鉱石運搬船から重油が流出し、2万羽以上のケープペンギンが油まみれになったのだ。

*2 先月、大阪で建設技術展があったのだけれど、このロボットはそこに展示された。そしてそこには、あのチャリべえも展示されており、お互い意気投合したのだそうだ。

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