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サイズを超越した美音空間――オンキヨーINTEC「A-933」レビュー:上質な机上音楽空間のススメ(2/3 ページ)

» 2005年08月16日 16時02分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 275ミリのINTEC 275は、小型ながらフルサイズの上位機種と同等の性能を目指した製品で、ピュアオーディオ志向の強い極めてマニアックな製品と言える。価格優先ならばINTEC 155、ちょっと高級・本格志向ならINTEC 205というのが定番。今回は試聴していないが、INTEC 205シリーズのA-905FXという製品もなかなかコストパフォーマンスに優れた製品だ。つまりINTEC 275シリーズは、そうしたミニコンポよりもワンランク上の、フルサイズコンポーネントに挑戦する高音質シリーズという位置付けである。

 さてA-933は、コンベンショナルなプリメインアンプの形態をとっており、PHONO入力を合わせ7系統のステレオ入力端子を装備。スピーカー端子は2系統の出力が可能であり、2系統同時出力にすればバイワイヤ接続にも対応できる。なおAVアンプなどとは異なり、デジタル入力端子は設けられていない。

photo A-933の背面インタフェース

 コンパクトながら外観は高級感に溢れており、とてもミニコンポの仲間とは思えない。シンプルで上品な面構えは単体コンポーネントオーディオそのものの質感だ。とはいえ、アンプの命は音質と駆動力にある。詳しいスペックは同社のカタログページに譲るとして、その音を評価してみよう。

photo 試聴にはソニーのSACDプレーヤー「SCD-XA777ES」(左)を組み合わせてみた。A-933(右)はコンパクトながら高級感あふれる外観

 接続するスピーカーはデスク上でも邪魔になりにくい小型ブックシェルフの代表格としてEntry Sを挙げたが、このサイズでどれほど鳴るものかとSonus FaberのGrand Piano Homeという3ウェイスピーカーにもつないでみた。

 するとこともなげにGrand Piano Homeが軽々と鳴ってしまう。このスピーカーは、アンプの駆動力がない場合、音離れが悪くなり、スピーカーに音がまとわりつくようなモタツキ感を感じるようになる。本来の能力を引き出すには、それなりにアンプ側の電流供給能力が無ければならないが、A-933は全くそのようなスピーカーの特性を意に介さず、朗々とスピーカーユニットを駆動し続ける。相当にボリュームを上げてもへこたれる気配さえない。

 ありきたりな言葉だが、このサイズからは想像も出来ないほどの力持ちというのが第一印象。おそらく本機に接続する可能性があるたいていのスピーカーで、駆動力が問題になることはない。

オンキヨーらしい美音空間にタイトで力強い低域

 次にEntry Sを接続してみる。

 このスピーカーは、元々は天井から吊すサラウンド用に作られたものとの事で、サイズはひじょうにコンパクト。しかし設置条件さえ整えてやれば、驚くほど広いサウンドステージで聴かせてくれるスケールの大きさを持つ。もちろん小型スピーカーらしい、小気味よいスピード感と高い解像度も併せ持っている。

photo ALR/JordanのEntry S

 A-933との組み合わせでは、その特徴がさらに伸ばされ、大きな音場でありながら、その中に綺麗に楽器が分離して聞こえてくる。各楽器の明瞭な音像は実に見事で、しょせんはミニコンポの延長だと高をくくっていたこともあり、やや驚かされた。

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