――日本におけるデジタルオーディオプレーヤーの市場をどのようにとらえていますか? ライバルであるソニーは新製品で“ユーザーの好みに合わせて進化する”という機能を搭載し、高機能化を進めることで差別化を図ろうとしていますが。
ジョズウィアック氏:日本市場は非常に重要だと考えています。世界で2番目に大きな市場ですし、日本の消費者は、仕上がりの良さや小型化、高い技術力というものを評価してくれます。その志向はアップルというブランドにとてもマッチしています。
ソニーの新ウォークマン(NW-A3000)は、オリジナルのiPod(初代)よりも大きいようですね。私たちは音楽再生以外の要素をプレーヤーに持たせようという意図を持ちません。あくまでも“ベストなミュージックプレーヤーを作る”というのが私たちの考えで、それが受け入れられているから、日本を含めて世界でのトップシェアを維持できているのだと思います。
iPod nanoは日本市場でベストなミュージックプレーヤーとして設計、投入されたわけですから、シェアはより伸ばすことができると考えています。
――iTunes Music Storeでは、限定的にですがビデオクリップのダウンロード提供も行われています。iPodのビデオ対応はありえるのでしょうか。
ジョズウィアック氏:重要なのは音楽を“聞く”ということだけではなくて、音楽を“楽しむ”“体験”するということです。ですから、iPodのインタフェースやサイズなどについても、音楽を体験するのに適しない方向へ変化していくことはありません。
動画を楽しむにはiPodのディスプレイは小さすぎます。かといってディスプレイを大きくすれば、本体も大きくなってしまい、“音楽をいろいろなところで体験する”という趣旨とは相反することになってしまいます。あくまでも、ユーザーと市場が求める音楽体験を提供するということに主眼点をおいています。
それに、ビデオコンテンツの提供には2つの大きなハードルがあります。ひとつは本体サイズの問題。もうひとつはインフラの問題です。動画配信用のインフラはまだ完全に整備されているとはいえません。この2つは決して無視できません。
――iPod miniがラインアップから外れたことで、1インチHDDを搭載した製品がなくなってしまいました。1インチや0.85インチの小型HDDを搭載したiPodはもう登場しないのですか?
ジョズウィアック氏:1インチHDDに対してならば、フラッシュメモリは非常に魅力があるストレージなのです。同クラスの容量を持ちながらも小型化が可能で衝撃にも強く、消費電力も低いからです。1.8インチのHDDは価格容量比に優れているので、今後も大容量が求められる製品には採用されるでしょう。
しかし、0.85インチHDDについては、1インチよりも悲観的な印象を持っています。HDDの容量は(HDDの)ディスク表面積にある程度比例しますから、小型デバイスへの搭載を考えるとフラッシュメモリの方が有利であると感じています。
――最後の質問です。iPodが登場してまもなく4年、現在はさまざまなiPodが用意されています。新登場のiPod nanoを含めて、どのように使い分けていけばいいですか?
ジョズウィアック氏:まずはたくさんのiPodを買ってもらって……というのは冗談で(笑)、iPod nanoは一番柔軟性がある製品だと思います。多くの曲を収納できますし、値段も手ごろです。iPod Shuffleは初めてデジタルオーディオプレーヤーを買う人へのエントリー機、もしくはジョギングやエクササイズで使う2台目のiPodとして検討するといいのではと思います。運動中に使うなら、iPod nanoもいいですよ。
1.8インチHDDのiPodは、容量が必要な人向けです。最大で60GバイトのHDDを搭載していますから、かなりたくさんの曲を収納しておけます。“たくさん入るならば、多少重たくてもかまわない”という人向けですね。
誰でも音楽は好きですから、音楽市場というものは非常にすそ野が広い市場だと思います。幅広い製品群をいろいろな価格帯で提供するというのが私たちの狙いです。
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