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ホームネットワークはどこへ行った?小寺信良(4/4 ページ)

» 2005年09月12日 14時30分 公開
[小寺信良,ITmedia]
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 つまりその実態は、家電メーカーやPCメーカーに向けた、ホームネットワーク製品開発支援ツールなのである。たとえばソフトの開発では、とりあえず動くハードを自力でなんとか作り上げて、などという障害もなくなるだろう。ハードの開発では、とりあえずリファレンスモデルがあることで動作検証ができるだろうし、自社開発中の製品との接続実験もできる。

 もともとデジオンとしても、このレコーダーをサポートの問題を解決するものとしてリリースするわけでもないだろう。だが、どこがサポートするかという問題以前に、開発時点でしっかり検証できてトラブルが少なくなれば、結果的にサポートに対する不安を取り除くことに貢献することになる。

 今後各メーカーは、ホームネットワークから撤退することはないだろう。なぜならば、そこに購買の構造改革を求めているからである。テレビを買ったら終わり、レコーダー買ったら終わり、あとはそれぞれを買い換えしていくだけ、という単体完結の購入サイクルから、複数の関連製品を同時に購入したり、同時に買い換えたりしてくれるという、芋づる式購入サイクルへの転換を果たしたいわけである。

 だが消費者としては、それに見合う利便性がなければならない。それにはまず、ホームネットワークって便利ぃ、というのをユーザーがイメージできることが必要だ。例えば無線LANを使ってHDTVコンテンツを伝送することで、すべての映像機器でビデオやオーディオケーブルの配線がまったく不要、といった世界である。

 しかし今の日本では、デジタル放送の厳しすぎるDRMのおかげで、消費者も、あるいは開発者ですらもそれが全然イメージできないというところが問題なのである。


小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

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