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ウラオモテはありません――富士通がサービスロボット「enon」を限定販売(2/2 ページ)

» 2005年09月13日 22時34分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 ユニークなのは、体に前後の区別がない「リバーシブル機構」だ。たとえば来客を案内するとき、液晶画面を前にして客に話しかけたあと、そのまま頭だけを180度回転させて後ろ向きに移動を始める。これは、ロボットが先に歩くときも液晶画面をお客のほうに向けておき、「お客とのコミュニケーションを途絶えさせないため」だ。

 「たとえば、お客が“もっとゆっくり歩いてほしい”というときは、液晶画面のメニューボタンを押して意志を伝える。またデパートなどの商用施設なら、イベント情報やCMを画面に表示することも考えられるだろう」(富士通フロンテック、メカコンポーネント事業部の宍戸徳一担当部長)。

photo 来客を迎え、所定の部屋に案内するデモンストレーション。移動する方向が変わっても、液晶画面はお客のほうを向いている。人間には真似できない礼儀正しさだ

 enonという名称は、「an exciting nova on network」の略だ。直訳すると「ネットワークの躍動的な新星」。その名の通りIEEE 802.11a/b/gの無線LANを内蔵し、パソコンから遠隔操作する機能を持っている。もっとも、ロボットにはあらかじめ移動範囲の地図やプログラムが組み込まれているため、用事があるときにはパソコンからenonを呼びつけるだけでいい。移動中に障害物を避けたりする動作はすべて自律的に行う。

 オフィスを想定したデモも行われた。待機中のenonをパソコンで呼びだすと、「遠隔端末から移動の指示がありました」と言って動き出す。荷物を目的地まで運び、両手を器用に使って台の上に載せてみせた。胴体に載せられる荷物は最大10キログラムまでだ。

photo 荷物をお腹(背中?)の運搬台に載せ、「運んで」と声で伝えると「承りました」。両手を器用に使って台の上に荷物を置く。背中(お腹?)の運搬台は、普段はカバーで隠しておける

 富士通研究所によると、既に7〜8社がenonの導入を決めており、11月から順次納入を始める予定だという。納入先は今のところ非公開だが、デパートやショッピングセンター、企業などを販売対象にしている。気になる価格は、ハードウェアのみで600万円。ソフトウェア開発費用は別途必要になる。

 そのほかのスペックは下記の通り。

名称 enon
稼働部 頭部:1、腕:5×2、手部:1×2、駆動輪×2
センサー カメラ×6、超音波センサー×3、近距離センサー×3
入出力機能 マイク×4、スピーカー×2、タッチパネル付き10.5インチ液晶モニター
通信機能 IEEE 802.11a/b/g無線LAN
バッテリー ニッケル水素(連続駆動約3時間)
充電方式 無接点充電方式
外形寸法 560(肩幅)×540(奥行き)×1300(全高)ミリ
重量 約50キロ
本体カラー シトラスイエロー、リリィホワイト、ラベンダーブルー
参考価格 約600万円(ハードウェアのみ)
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