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コンセントから流れるHiFiサウンド──ヤマハブースで高音質PLC技術A&Vフェスタ2005

» 2005年09月22日 01時26分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 A&Vフェスタ2005のヤマハブースでは、150インチの巨大スクリーンに24席を用意したミニシアターを含め視聴ルームを大小4つ設置するなど、実際に体験できるコーナーを多数用意して同社のホームシアター新製品群を紹介している。

photo 先日発表したばかりのワンボディ・リアル5.1システム「YSP-800」「YSP-1000」も大々的にアピール
photo ミニシアター内では21日に発表されたばかりの新スピーカーシステム「NS-525」シリーズとDSP AVアンプ「DSP-AX4600」を組み合わせた試聴や、憧れの「クリプシュホーン」スピーカーの試聴会も開催されている

 そんなホームシアター提案の1つとして参考出品されていたのが、PLC(電力線搬送通信)技術を利用した「PLCオーディオ伝送システム」だ。

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 PLCとは100ボルトの商用電力線に高周波信号を重畳し、電力線を伝送路として使用する通信方式。家庭内のコンセントを介することでプラグを挿すだけで通信ができるため、欧米では家庭内LAN代替/通信ネットワークのインフラとして一部実用化されているケースもある。ただし国内では、漏洩電波が無線通信に影響を与えるのではという懸念もあり、まだ認可されていない。

 ヤマハが参考出展したPLCオーディオ伝送システムは、海外向けに来年3月から発売予定の製品の試作機。送信機(「TRX-T10」)と受信機(「TRX-R10」)に分かれており、それぞれにRCAピン端子を1系統装備。送信機側にレシーバー製品(CD/DVDプレーヤーなど)、受信機側にライン入力が可能なオーディオ機器(ミニコンポ/アンプ内蔵スピーカーなど)を接続することで、レシーバーの音楽をコンセントがあるところなら家中どこでも聴くことができるという製品だ。

photo ヤマハが参考出展したPLCオーディオ伝送システム試作機。送信機(左)と受信機(右)に分かれている
photo 送信機の背面。RCAピン端子を1系統装備

 特筆すべきはその音質で、サンプリング周波数44.1kHz/量子化16ビットのリニアPCMという“音楽CD並みの高音質”で伝送できるのが特徴。「リニアPCMで伝送できるのは、今回の製品が世界初」(同社)。

 冒頭で述べた「ホームシアター提案」としては、5.1chなどサラウンドシステムを構築する際に、リアスピーカーへの音響伝送をこのPLCオーディオ伝送システムでまかなおうという紹介を行っていた。

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 「海外では1台のオーディオシステムから各部屋に音楽を配信するという考えがわりと一般的だが、日本では家屋の事情からこのような考えはまだ普及していない。それなら、狭い日本家屋で悩みのケーブル設置のわずらわしさを、このPLCオーディオ伝送システムで解消できるという提案の方が日本ユーザーには受けると考えた」(同社)

 今回の試作機は送信/受信が別体だが、1台で送受信可能なモデルや、スピーカー単独で音楽が聴けるように受信機側にアンプを内蔵したモデルの開発も行っているという。

 「PLCオーディオ伝送システムの価格は200ドル前後になる予定。アンプ内蔵タイプは250ドル前後になるだろう。海外では来春から発売する予定だが、日本でも規制緩和で来年4月ごろに認可されるという話もあるので、国内認可がおりたら販売していきたい」(同社)


photo そのほかヤマハブースでは国内未発表のDLPフロントプロジェクター「DPX-1300」(上)や、Klipsh(クリプシュ)ブランドの5.1chホームシアター・スピーカー・システム「CINEMA6」(下)も参考出展
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