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“本格ビデオカメラ機能”を手のひらに──松下 SDカードムービー「SDR-S100」レビュー(3/3 ページ)

» 2005年09月30日 23時59分 公開
[浅井研二,ITmedia]
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 また、メニュー画面のセットアップで「クイックスタート」を「入」にしておけば、レンズカバーの開閉動作はせず、単に省電力(液晶画面オフなど)の待機状態となり、撮影開始までの待ち時間が1.5秒に短縮される。ただ、通常の電源連動(クイックスタート切)でも、液晶オープンから撮影開始までは3〜4秒と十分に速いので、よほどのケースでなければ、特に利用しなくてもかまわないだろう。

 動画の撮影品質は、解像感こそ平均的なレベルにとどまるものの、輪郭はくっきりと描き分けられ、破綻などもほとんど見られない。しかも、松下電器産業ならではの、自然かつ濃厚な色のりは健在だ。動きもボケが少なく、滑らかに捉えてくれる。撮影モードはやはりXPが望ましいが、SPでもなんとか我慢できるレベル、LPはかなりつらい。まあ要するに、DVDレコーダーでの画質モード選択と同様に考えればいい。

 手ブレ補正は当然ながら、見た目に効果抜群とはいかないものの、映像に安定感を与える働きはしている。また、静止画撮影時にも手ブレ補正は有効だ(MEGA OISモード)。

 静止画モードでの記録サイズは2048×1512、1280×960、640×480、1920×1080の4モードが用意され、各々で圧縮レベルを2段階に設定できる。HDTVと表記される1920×1080のみ16:9画像で、ほかはすべて4:3だ。最大サイズは2048×1512だが、見た目の解像度は1920×1080とさほど変わらない印象で、しかも内蔵モニターがワイド画面ということもあり、よほど4:3映像にこだわるのでないかぎり、HDTVモードを選べばいいだろう。

 撮影された映像は、動画撮影時にもまして色が鮮明になり、細かい部分もしっかりと塗り分けてくれる。ただ、1920×1080でも等倍で表示させると粗やノイズが目立つので、実際に使用する際には半分程度(960×540)に縮小処理したほうがよさそうだ(2048×1512も同じく)。

 この「SDR-S100」の競合製品はDVカメラやDVDカメラとなるわけだが、それ以外にも数多く挙げられる。ビクターのEverioシリーズは、記録メディアを着脱可能な1インチHDD(要するに、MicroDrive)から内蔵型1.8インチHDDへと展開を広げているし、東芝でも0.85インチHDD内蔵のビデオカメラ「gigashot V10」を発表した。また、圧縮方式にMPEG-4を採用しつつ、640×480ピクセル/30fpsで動画撮影が可能なデジタルスチルカメラも、現在ではなんらめずらしくない。品質的にはまだまだだが、携帯電話の動画撮影性能も向上していくに違いない。

 そんななかで、「SDR-S100」の優位点はというと、やはり、3CCD、光学式手ブレ補正、光学10倍ズームといった“本格的なビデオカメラ機能”を極限までに小さなサイズへ収めたところ、というほかない。もちろん、さらに高性能なビデオカメラもあれば、よりコンパクトなサイズで動画撮影が可能な製品も存在する。しかし、その両方を兼ね備えた製品としては、「SDR-S100」が頭ひとつ抜け出ているといっていい。

作例

photo 江ノ島を遠くに眺めた風景。右下のウィンドサーフィンの黄色いセイルは、かなり小さいにもかかわらず、つぶれてしまわずにくっきりと色が乗っている
photo マリーナのハーバーに並ぶヨット。明瞭に描かれた輪郭が印象的だ
photo ただし、文字の部分などを原寸で見ていると、解像度不足の感は否めない。半分の960×540に縮小処理して利用するのが妥当かもしれない
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photo 同じシーンを、2048×1512、1920×1080で撮影(ともに日光下)した映像を比較。画角と撮影位置の関係で、後者がやや小さめに写ってしまったが、ぱっと見た感じでは同レベルの解像度といえる。さらに、内蔵フラッシュも使用してみたが(記録サイズは1920×1080)、比較的均等に全体へ光が回ってくれるようだ
photo XPモードで動画撮影。一般的なビデオカメラと比べても遜色がなく、実にスムーズなモーションで映像が捉えられる
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